肺腺がんの治療
肺腺がんの治療では、病変の進行度や年齢、健康度を考慮しながら外科的手術や放射線治療、化学療法が選択されます。
リンパ節や他の臓器への転移がない肺腺がんでは外科的手術が行われます。
外科的手術では病変の広がりによって、がんを発生している肺葉を切除する手術が行われます。
胸を大きく切開する開胸手術や胸を極力小さく切開して胸腔鏡を使う胸腔鏡手術で行いますが、病変が小さい場合には胸腔鏡手術が行われます。
胸腔鏡手術は、胸に2cmほどの空けた穴を数カ所空け、その穴を使って手術を行うことから、術後の治りがよく生活の質(QOL)が高い治療法です。
肺腺がんがリンパ節まで転移していた場合には、放射線治療と化学療法が併用されます。
放射線治療と化学療法を同時に行う化学放射線治療は、単独で使うよりも高い効果が見られますが、同時に倦怠感や食欲の低下などの強い副作用が現われます。
肺以外の臓器に転移がある場合や、がん細胞が混じった胸水や心嚢液が見られるときは、化学療法だけを選択して、転移したがんを優先的に治療することもあります。転移の痛みによる身体的・精神的苦痛があるケースでは、痛みの症状を和らげることを目的とした治療が行われます。
肺腺がんになりやすい人・予防の方法
喫煙習慣がある人は、肺腺がんのリスクが高くなります。
肺腺がんは、ほかの肺がんよりも、喫煙による影響が小さいと言われていますが、非喫煙者と比べると喫煙者の発症のリスクは高いです。
受動喫煙にさらされている人も肺腺がんになりやすいことが報告されています。
(出典:受動喫煙とたばこを吸わない女性の肺がんとの関連について)
そのほか職業歴や住環境上の理由でアスベストの吸入歴がある人や、肺結核や慢性炎症性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患になったことがある人も肺腺がんになりやすくなります。
肺腺がんを予防するために、喫煙習慣がある人は、禁煙に取り組みましょう。
禁煙を10年間した場合、肺がんのリスクは喫煙者の半分に下がると言われています。また早期発見のために、定期的な検診を受けるのも効果的です。
肺腺がんは肺がんのなかでも症状が出にくいですが、検診を受ければ見つかりやすく、早期発見できれば治療が手術だけで済むことや再発の可能性を下げることにもつながります。
40歳以上の人は1年に1回の肺がん検診が推奨されているため、喫煙歴がある人は特に肺がん検診を受診しましょう。
関連する病気
肺小細胞がん
肺扁平上皮がん
肺大細胞がん
転移性骨腫瘍
肺結核
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
参考文献
日本肺癌学会 肺癌診療ガイドライン
国立がん研究センター がん情報サービス
配信: Medical DOC
関連記事: