ハンチントン病の前兆や初期症状について
ハンチントン病の初期症状は些細なものがほとんどで、次第に悪化します。
前兆として、箸を使うことや字を書くことなどの細かい動作が難しくなったり、物を落としたり、転ぶことが増えたりなどの症状が現れます。
このような症状は、運動能力の低下からくる場合と、注意力散漫や感情の浮き沈みといった性格の変化からくる場合に分かれます。
特に、舞踏病運動と呼ばれる小刻みな動き(不随意運動)は、ハンチントン病の代表的な症状として知られています。
ハンチントン病で見られる不随意運動の例として、手を曲げたり伸ばしたりする動き、足を踏み出したり曲げたりする動き、舌を出したり引っ込めたりする動き、首を回す動き、首を後ろに伸ばしたりする動きなどが挙げられます。
また、注意力の低下や計画力の低下といった、認知面での能力低下や、感情の起伏・変動が激しくなったり、うつ症状を伴うという精神的な症状を伴うこともあります。なお、ハンチントン病では記憶障害は比較的軽く、認知症などの記憶障害とは症状が異なっています。
精神症状の具体例としては、怒りっぽくなる、情緒不安定になるなどが報告されており、幻覚や妄想が目立つケースも存在します。
これらの症状はいずれも初めは軽微です。症状は複合的に、慢性的に進行し、徐々に日常生活に支障をきたすようになります。
ハンチントン病の検査・診断
ハンチントン病の診断は、主に脳画像検査、神経学的検査、そして遺伝子検査を用いて行います。
まず、脳画像検査については、頭部CT・MRIにて大脳基底核の一部である尾状核(びじょうかく)と呼ばれる部位の萎縮がおこり、進行とともに全脳が委縮、それに伴い側脳室前角が拡大しているという特徴が、診断の一助となります。
また、脳血流シンチグラムでは前頭・側頭葉型の血流低下が認められます。
神経学的検査では、舞踏運動を中心とした不随意運動や、認知機能の低下、精神症状などを調べます。
なお、最終的には遺伝子検査(PCR法)により診断が確定されます。
ハンチントン病の特徴である、IT15遺伝子のCAGリピートの異常伸長が認められると、ハンチントン病であると確定します。
配信: Medical DOC