ニキビの治療
ニキビの治療の基本は、毛穴に詰まった皮脂の改善とアクネ菌に対する治療です。
炎症性の赤いニキビや膿をもつニキビには、アダパレン、過酸化ベンゾイル、アダパレンと過酸化ベンゾイルの配合薬、クリンダマイシンと過酸化ベンゾイルの配合薬などの塗り薬や飲み薬が使用されます。
アダパレンは毛穴詰まりの改善、過酸化ベンゾイルは毛穴詰まりの改善とアクネ菌に対する抗菌作用があり、抗菌薬であるクリダマイシンはアクネ菌に対する抗菌作用があります。炎症のないニキビや、炎症が改善されたニキビには抗菌薬の使用は推奨されておらず、アダパレンや過酸化ベンゾイルなどの外用薬で治療を行います。
毛穴にたまった皮脂を針で穴をあけて押し出す面ぽう圧出という処置を行うこともあります。
近年、抗菌薬の長期使用により、抗菌薬の効かない薬剤耐性菌が出現することが問題視されています。抗菌薬は医師の指示のもと、適切に使用するようにしてください。
過酸化ベンゾイルはアクネ菌に対する抗菌作用はありますが、薬剤耐性菌をつくらないため安心して長期使用できる薬剤とされています。アダパレンは、妊娠している方や妊娠を予定している方は使用できません。妊娠の可能性がある方は、必ず医師に伝えるようにしましょう。
そのほか自費で行う治療には、ケミカルピーリングや光線療法、レーザー治療などがありますが、日本皮膚科学会のガイドラインで推奨されているのはケミカルピーリングのみです。
ニキビになりやすい人・予防の方法
ニキビの原因となる皮脂の分泌は、ホルモンの影響を受けます。ホルモンバランスを崩す睡眠不足や不規則な生活をしている方は、ニキビになりやすいと考えられます。
大人のニキビ(思春期後ざ瘡)は女性に多く、ストレスや睡眠不足、不規則な生活、不適切なスキンケア、性ホルモンのバランスが変わる月経前などに、ニキビが悪化することがあります。また、大人ニキビは乾燥肌の方が多いことがわかっています。
ニキビの予防には、規則正しい生活習慣や皮膚を清潔に保つことが大切です。生活のリズムを整え睡眠時間を十分確保し、バランスの良い食生活、ストレスのない生活を送るようにしましょう。
髪や衣類などが常に肌に触れていると、ニキビができやすくなります。なるべく髪や衣類などが肌に触れないようにし、肌を清潔に保ちましょう。また、1日2回の洗顔が皮脂を抑え、ニキビの予防に効果的であるとされています。乾燥が気になる場合には保湿剤を併用しましょう。
関連する病気
ケロイド
酒さ
参考文献
日本皮膚科学会 尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023
公益社団法人 日本皮膚科学会 ニキビ
慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイトニキビ(尋常性ざ瘡)
東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部 尋常性ざ瘡治療薬 ―過酸化ベンゾイル含有製剤―
国立国際医療研究センター病院 AMR臨床リファレンスセンター 令和時代のニキビ治療 ~根本から治せるようになった一方で、耐性菌の問題も~
配信: Medical DOC
関連記事: