リンパ浮腫

リンパ浮腫

リンパ浮腫の概要

リンパ浮腫とは何らかの原因でリンパ管に回収されなかった体液が細胞同士のすき間に溜まり、手脚などにむくみが生じる状態のことをいいます。

リンパ浮腫は、原因が明らかでない原発性リンパ浮腫(一次性リンパ浮腫)と原因が明らかな続発性リンパ浮腫(二次性リンパ浮腫)に分けられます。日本では続発性リンパ浮腫が多く、がんの手術や放射線治療に伴って発症するケースがほとんどです。

注意すべき合併症の一つに蜂窩織炎(ほうかしきえん)があります。蜂窩織炎とは小さな傷から細菌が入ることで起こる皮膚の炎症です。すでにむくみがある場合、さらに状態が悪化してしまったり、自覚症状がない初期段階でも、蜂窩織炎をきっかけにリンパ浮腫を発症することもあります。そのため蜂窩織炎を起こしたら、早期に治療し速やかに炎症を抑えることが重要です。

リンパ浮腫の治療は、圧迫療法などの理学療法にセルフケア指導を加えた複合的治療が基本です。複合的治療をおこなっても進行する場合には、手術治療が選択されることもあります。リンパ浮腫は一度発症すると治りづらく進行しやすいという特徴があるため、早期発見・早期治療が重要です。

リンパ浮腫の原因

リンパ浮腫は、原発性リンパ浮腫(一次性リンパ浮腫)と続発性リンパ浮腫(二次性リンパ浮腫)の2つに分類されます。

原発性リンパ浮腫は、原因不明のものと遺伝子異常などによる生まれつきのものがあります。一方、続発性リンパ浮腫の原因としては、がん治療後の後遺症や外傷、フィラリア感染などが挙げられます。がん治療後のリンパ浮腫は、手術でリンパ節を取り除いたり、放射線治療によりリンパの流れが悪くなったりすることで起こります。

手足のリンパ液はリンパ管を通り、腕から心臓または足から心臓へと流れていきます。リンパ液の流れ道であるリンパ管の途中に、リンパ節があります。
リンパ節は、細菌・ウイルス・がん細胞などがいないか調べて排除し、外的から体を守る働きがあります。最終的に心臓の近くにある静脈角とよばれる場所でリンパ液は静脈に合流し血液と混ざり、最終的に尿として体の外へ排出されます。
しかしリンパの流れが悪くなるとリンパ液が回収されず、体の中にリンパ液が貯まりむくみにつながるのです。

日本ではがん手術によるリンパ節の切除や放射線治療、一部の薬物療法などによるものがほとんどですが、世界的にはフィラリア症によるものが多いといわれています。国内では1978年以降フィラリア症の発症者は出ていません。
(出典:日本癌治療学会 がん診療ガイドライン「リンパ浮腫診療ガイドライン」))

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