厚生労働省が公表した2022年の国民健康・栄養調査で、成人男性の肥満者が過去10年で増加傾向にあることが分かりました。この内容について中路医師に伺いました。
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
厚生労働省が公表した内容とは?
厚生労働省が公表した内容を教えてください。
中路先生
国民健康・栄養調査は厚生労働省が継続的に実施しているもので、今回は2910世帯を対象におこなった調査結果を公表しています。
調査によると、20歳以上の男性のうち、BMIが25以上の肥満状態にある人は31.7%に上ったことが明らかになりました。前回の調査がおこなわれたのは2019年で、この時期と比べると1.3ポイント減っているものの、10年前の2012年と比べると2.6ポイント増え、増加傾向にあると言えます。男性の年代別にみると、肥満の人の割合が最も高いのは50代で40.1%、次に60代で33.8%、40代で33.7%という結果でした。なお、20歳以上の女性の肥満の割合は21%で、この10年間で大きな変化はみられませんでした。
また、1日に歩いた平均歩数は、男性が6465歩と10年前と比べて9%減っていました。一方で女性は、5820歩と10年前より7%減っています。さらに、野菜摂取量や喫煙率などは、男女とも10年間で減少傾向がみられました。2022年の喫煙率は男女合わせて14.8%で、性別ごとにみると男性が24.8%、女性が6.2%と過去最低となりました。
調査結果についての受け止めは?
厚生労働省が公表した2022年の国民健康・栄養調査の結果への受け止めを教えてください。
中路先生
20歳以上の男性の肥満、とりわけ40~50代の男性の肥満の割合が特に高くなっています。この年代は多くの人が責任のある地位にあり、時間的余裕もなく「肥満を改善しなければならない」と自覚していても、なかなか行動へ移せないでいると考えられます。そのため、個人の努力だけではなく、国や自治体を含めた社会全体での取り組みが必要です。
配信: Medical DOC