みをつくし料理帖で話題!美味しい楽しい江戸料理レシピ

第889回 今日のこれ注目!ママテナピックアップ
高田郁さん(高はハシゴダカ)の時代小説『みをつくし料理帖』が、NHK土曜時代ドラマで5月13日から放送中。人気を博しています。

同作品は2009年にハルキ文庫から刊行されたシリーズ小説で全10巻。時は1802年の江戸時代。水害によって両親を亡くした主人公の少女・澪(みお)が、自らが奉公人として勤めた大坂随一の料理屋「天満一兆庵」の再興と「天満一兆庵」江戸店の店長・佐兵衛の行方探しのために江戸に出るところからこの物語は始まります。

●人気の秘密はおいしそうな江戸料理

ストーリーはもちろんのこと、人気を支える秘密は劇中に登場する江戸料理の数々。第1回で登場したのは「はてなの飯」。「はてなの飯」とは、鰹をつかったご飯のこと。今では時期を問わず食卓でもなじみ深い鰹ですが、江戸時代は初鰹こそ競って食べたものの、秋の戻り鰹は“猫またぎ(魚好きの猫もまたぐほど興味がないということ)”と呼んで口にはしませんでした。

そんな戻り鰹を美味しく調理したのが「はてなの飯」。鰹という名前を付ければ皆が嫌がる。そこで、中身は何かわからない「はてなの」飯としたわけです。劇中に登場する「はてなの飯」のおいしそうなこと! 夕方18時ごろという放送時間も、最高の調味料となっています。

「はてなの飯」の作り方はNHK公式サイト『みをつくし料理帖』にも掲載されているから、再現したい人は是非チェックを!
(http://www.nhk.or.jp/jidaigeki/miwotsukushi/html_miwotsukushi_recipes01.html)

みをつくし料理帖

●ところで江戸料理って他にはどんなレシピがあるの?

素朴ながらもおいしそう。「はてなの飯」を見ると、江戸料理にはそんな魅力がありそう。他にはどんな料理があったのでしょう? 調べてみると、『人文学オープンデータ共同利用センター』(人文学データをデジタル保存化して一般公開しているデータベース)のなかにも、そのレシピを見ることができます。

たとえば、江戸料理のレシピ本として100種類以上の卵料理が収録されている『万宝料理秘密箱 卵百珍(まんぼうりょうりひみつばこ たまごひゃっちん)』のなかには、次のようなレシピが。

『小豆餅卵』レシピ

【食材】
・卵(小さいチャボの)
・飴(しる飴。ようは水あめのこと)
・小豆(煮小豆のこと)

【作り方】
1.小さい卵をゆでたまごにして殻をむく。
2・ゆで卵を水あめのなかにくぐらせて、くるりと表面に水あめを塗る。
3.2を竹串に差して煮小豆をつける。こうすることでお餅に見える。

卵が甘い味付けになるのは、なんとも不思議な気持ちになるけれど、多くのスイーツには卵が使われているし、お餅風に仕立てた卵がどんな味になるのかは気になるところ。また、お餅を使わず糖質カットになっている点も見逃せません。

その他、江戸時代の初期の料理として有名なのが「せたやき芋」こと、うなぎもどき。

『せたやき芋』のレシピ

【食材】
・山芋…大さじ8程度
・くず粉…大さじ4
・海苔…1~2枚
・しょう油…適量
・みりん…適量
・酒…適量

【作り方】
1.山芋の皮をむいたらすり鉢でおろし、くず粉をまぶしながら混ぜ合わせる。
2.よく混ぜ合わせた1を海苔の上にウナギのかば焼き程度の厚さに乗せる。この時ウナギのかば焼き風に、真ん中には筋を入れる。
3.2をごま油でこんがりと揚げる
4.揚がった3を串に刺したらしょう油とみりん、酒を合わせたタレを塗りながらじっくりと焼く

「せたやき芋」は精進料理のひとつで、いわゆるウナギを模したもどき料理。山芋をウナギに見立てたレシピですが、ウナギ同様山芋も精のつく食材。ウナギを食べる元気がないときは、山芋でサッパリといただくのもアリ?

探してみると江戸料理は他にもたくさん。料理を通じた知的探訪。あなたも楽しんでみませんか?
(文・江戸坂ゆみ/考務店)