脳梗塞の治療
脳梗塞の治療は発達してきており、目的に応じて2つに分かれます。脳梗塞を発症した直後の治療と発症して時間が経ってからの治療になります。
脳梗塞を発症した直後の場合
脳梗塞を起こした直後とは脳の血管が詰まった直後を指します。このとき、脳の血管は詰まっていますが、脳細胞自体は細胞死に至っていない、つまり、脳梗塞になっていない場合があります。詰まっている血管が太ければ、カテーテル治療で詰まりを解消する治療を行います。最近では、治療可能な時間が脳梗塞を発症していないときから最長24時間まで延びています。詰まっている血管が細くてカテーテル治療ができない場合にも、経静脈血栓溶解療法が行われる場合があります。こちらは、脳梗塞を発症していないことが確認できたときから4.5時間以内の場合を原則として治療しています。
脳梗塞を発症した直後は、カテーテル治療と経静脈的血栓溶解療法のいずれか、もしくは、組み合わせで治療します。
脳梗塞を発症して時間がたっている場合
カテーテル治療や経静脈的血栓溶解療法が受けられない場合は、脳梗塞の症状が悪くならないような治療と予防治療を行います。
脳梗塞の原因に応じて、抗血栓療法、いわゆる血液サラサラの治療を行います。抗血栓療法には、主に動脈硬化や血小板血栓を予防する抗血小板療法と心房や静脈などの血流が遅い部分の血栓形成を予防する抗凝固療法に分類できます。薬剤の種類も豊富で、個々人にあわせて選択します。
そのほか、脳梗塞時に発生する活性酸素を除去する治療や循環血漿量を増加させる治療を組み合わせます。
また、この時期に重要なことはリハビリテーションです。失われた機能を取り戻すことは、今後の生活が制限されないためにも重要になります。脳梗塞で失われた症状はリハビリテーションにて改善しますが、概ね3ヶ月を過ぎると回復がなだらかになり、症状が固定します。この期間にいかに改善するかが重要なので、積極的にリハビリテーションに取り組みましょう。
脳梗塞になりやすい人・予防の方法
心房細動
最も重症になりやすい脳梗塞の原因は、心房細動という不整脈です。動悸や脈が飛ぶなどの症状がある場合は病院へ相談しましょう。自分の脈を確認することも良いでしょう。手のひらを上にして、手首の親指側に反対側の指先をそっと置いてみましょう。ドキドキと一定のリズムを感じる場合は正常です。リズムが常に一定ではない、よく脈が飛ぶ場合も病院へ相談しましょう。心房細動を脳梗塞などが起こる前に発見できれば、カテーテル治療で心房細動を治したり、脳梗塞を予防したりすることができます。
生活習慣病
脳梗塞の発症には、生活習慣病も強く関わっています。高血圧症、脂質異常症、糖尿病などがあればきちんと病院を受診し、治療を受けましょう。特に病気を持っていない場合も定期的に健康診断を受診して、生活習慣病が起こっていないか確認しましょう。
嗜好品
嗜好品も重要です。喫煙は脳梗塞を含めた脳血管疾患のみならず、心血管疾患の発症にも関わります。禁煙は、健康的な生活を送るうえで欠かせません。酒は百薬の長といいますが、節度ある量が大切です。大量に飲みすぎると脳梗塞の原因となりますので控えましょう。
肥満
肥満も脳梗塞の発症には重要です。Body Mass Index (BMI)が高くなると、すべての脳梗塞のタイプが増えるといわれます。また、近年の研究では、やせすぎも脳梗塞の重症度が上がることもわかりました。適正体重を目指すように生活習慣を改めましょう。適正体重に近づくにつれて生活習慣病が改善するかたも多くいらっしゃいます。日々の食事や運動に気を付けて健康寿命の改善に取り組みましょう。
参考文献
国立研究開発法人国立循環器病研究センター脳卒中
脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2023〕編集日本脳卒中学会脳卒中ガイドライン委員会協和企画発行
配信: Medical DOC
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