テレスコープ義歯のメリットとしては、「金具がないので見栄えがいい」「しっかり噛める」「残っている歯を守る」が代表的です。ではデメリットにはどんなことがあるのでしょうか。「くろさき歯科」の黒崎先生に解説してもらいました。
※この記事はMedical DOCにて【目立たずよく噛める「テレスコープ義歯(ドイツ式入れ歯)」と普通の入れ歯の違いを歯科医が解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
≫ テレスコープ義歯と保険適用の入れ歯はここが違う。装着感、メリット・デメリットを解説
監修歯科医師:
黒崎 俊一(くろさき歯科)
日本大学歯学部卒業。日本大学大学院歯学研究科修了。その後、埼玉県さいたま市に「くろさき歯科」を開院。院内には虫歯・補綴(入れ歯)・歯周病・矯正・小児歯科の認定医・専門医が在籍。各分野のエキスパートが連携し、信頼できる質の高い医療を提供している。歯学博士。日本補綴歯科学会専門医。
編集部
入れ歯にテレスコープ義歯を選ぶと、どのようなメリットがあるのでしょうか?
黒崎先生
テレスコープ義歯には、大きくわけて「金具がないので見栄えがいい」「しっかり噛める」「残っている歯を守る」の3つのメリットがあります。
編集部
「金具がないので見栄えがいい」というのはイメージできるのですが、「しっかり噛める」というのはなぜでしょうか?
黒崎先生
先述したように、テレスコープ義歯は残っている歯を金具で抱え込むのではなく、茶筒のようにスポッと入っていく仕組みなので、これまでの入れ歯と比較して装着感が違います。普通の入れ歯は残っている歯に「レスト」と呼ばれる小さな金属をかけて受け止めます。一方のテレスコープ義歯は、「残っている歯」で受け止めます。このような特徴により、普通の入れ歯よりもしっかり噛めるわけです。
編集部
では、3つ目のメリットにある「残っている歯を守る」というのは、どのような仕組みからでしょうか?
黒崎先生
金具の入れ歯は歯のないところに力がかかると、入れ歯が外れないように左右を抱きかかえた金具が歯をゆすってしまいます。このゆする力が、残っている歯にとっては大きなダメージになるわけです。しかし、テレスコープ義歯は歯をすっぽりと覆うため、歯のないところに力がかかっても歯がゆすられることはありません。歯への負担が少ないことが、結果的に残っている歯を守ることにつながっています。
編集部
一方で、テレスコープ義歯にデメリットはあるのでしょうか?
黒崎先生
デメリットも大きく3つが挙げられます。「残っている歯の状態によっては、テレスコープ義歯をお作りできないこと」「テレスコープ義歯は保険が適用できないので、普通の入れ歯よりも高額なこと」「テレスコープ義歯を取り扱っている歯科医院が少ないこと」の3点です。
編集部
「残っている歯の状態」とは、具体的にどんな状態でしょうか?
黒崎先生
テレスコープ義歯は残っている歯が噛んだときの力を受け止めるため、その歯がしっかりしていないと入れ歯をお作りできません。つまり、むし歯でボロボロだったり、歯周病でグラグラしたりする歯しか残っていないような場合は、「テレスコープ義歯にしたくてもできない」ということです。
編集部
「取り扱っている歯科医院が少ない」とはつまり、かかりつけの医院で作ってもらえない可能性があるということでしょうか?
黒崎先生
そうですね。テレスコープ義歯は作る工程が複雑なうえに精密さも求められることから、作製できる歯科医師や歯科技工士も少ないのが現状です。そのため、今通っている歯科医院で「作ってほしい」とお願いしても作ってもらえない可能性があります。
配信: Medical DOC
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