手根管症候群

手根管症候群

手根管症候群の概要

腕には正中(せいちゅう)神経、橈骨(とうこつ)神経、尺骨(しゃっこつ)神経という3種類の主要な神経が走行しています。
また、手根管(しゅこんかん)とは字のごとく手首にある狭いトンネルを指し、正中神経と9本の屈筋腱(指を曲げるためのスジ)が納まっています。
手根管症候群とはこの手根管の部分で正中神経が圧迫されることで、手や指に痛みやしびれを引き起こす病態を言います。
手首より先における正中神経の支配(神経が張り巡らされている範囲のこと)ですが、
①感覚
母指(おや指)、示指(人指し指)、中指(なか指)、環指(くすり指)橈側(親指側)の掌側(てのひら)を司ります。
②運動
母指球(母指の付け根にある膨らんだ部分)にある短母指外転筋(たんぼしがいてんきん)に繋がり、母指を内側に倒し、ものを掴んだり摘まんだりする動作に関わります。

これら①②が障害される状態を「手根管症候群」と称します。

手根管症候群の原因

正中神経が挟まる、圧力が加えられ神経における電気活動が妨げられることで手根管症候群の症状を呈します。
手根管の掌側は屈筋腱が脱臼しないようにするための横手根靭帯(おうしゅこんじんたい)で構成されていますが、これが肥厚することで正中神経の周囲にゆとりが無くなり障害を受けます。
手根管症候群にはさまざまな原因が考えられています。

手の使いすぎ

手を頻繁に使う職業や、毎日家事に追われる方などさまざまですが、手を閉じたり開いたりすることで刺激され橫手根靭帯が肥厚すると言われています。また短掌筋(たんしょうきん)という橫手根靭帯の近くの筋肉が発達しすぎることも原因の一つと言われています。

骨折やスポーツによる怪我

怪我をした事で手首の形が変わってしまい、手根管が狭くなることがあります。これも正中神経が圧迫される原因となります。

特発性

原因不明なものです。妊娠・出産期や更年期の女性に多いという特徴があります。女性ホルモンのバランスが崩れることで手根管内を走行する腱が浮腫んでしまい、圧力が高まることで正中神経が障害されると考えられています。しかしこれは未だにはっきりとは証明はされていません。

透析

透析で除去しにくいβ2ミクログロブリンというタンパク質が体内に溜まりアミロイドという物質を作ります。これが屈筋腱や橫手根靭帯に付着することで手根管内が狭くなり、正中神経が圧迫されます。
そのほか、糖尿病や甲状腺機能低下症、また遺伝的素因も指摘されています。

関連記事: