手根管症候群

手根管症候群

手根管症候群の前兆や初期症状について

手根管症候群の初期は、夜間や起床時に手や指にしびれや痛みを感じることが多い傾向にあります。
母指、示指から始まり中指、環指と広がり、てのひらまでにも昼夜問わずしびれを感じるようになります。
短母指外転筋の筋力が低下することで掴んだり摘まんだりする動作が難しくなり、物を落としてしまうという事に悩まされます。
手根管症候群の前兆や初期症状が見られた場合に受診すべき診療科は、整形外科です。手根管症候群は手の神経圧迫による症状であり、整形外科で診断と治療が行われています。

手根管症候群の検査・診断

手根管症候群の診断には、症状や痛みしびれの推移と身体診察により判断します。
しびれの範囲を患者さんから問診し、手や指の動きを観察します。
怪我が原因である場合もあるため、単純X線撮影には『手根管撮影』という特殊な撮影方法もあります。
徒手検査は一般的に、正中神経を圧迫することで感覚異常を誘発するか否かを確認するために行います。

Tinel sign(ティネル徴候)

打腱器で神経が圧迫されている部位をたたくと、それ以遠にしびれが放散する事を確認する検査です。手根管症候群の場合、手根部(手首の掌側)を叩く事で母指や示指などに鋭いしびれが響くことを確認します。

Phalen test(ファーレンテスト)

両側の手首を掌側に曲げながら手の甲を合わせ、10-30秒押し付けあいます。これによって手根管が圧迫され母指や示指のしびれなど正中神経の症状を誘発します。手根管症候群ではない場合はしびれを生じません。

Carpal Tunnel Compression test(手根管圧迫テスト)

手根管症候群だと疑う場合、手根部を10-30秒ほど指で強く圧迫します。Phalen testと同様に、手根管内圧が高い場合は母指や示指にしびれを生じます。
次に、指の動作、短母指外転筋が正常に働いているかを確認します。

Perfect O sign(パーフェクトオーサイン)

母指と示指の指先を合わせてきれいな丸、アルファベットのOを作ってもらいます。正中神経が障害されていると短母指外転筋が正常に働かないため母指がしっかり広がらず、潰れた丸しか作れません。
確定診断には神経伝導速度検査を行います。
神経の表面はナトリウムイオンとカリウムイオンの交換によって微弱な電気が流れています。
専用の装置で刺激することで神経での電気の流れる速度を計測することができます。

神経伝導速度検査

母指球部に電極を貼り付けます。肘関節部、手関節部、手根部、と刺激を行います。刺激部と電極部の距離と実際に電気が流れるのにかかった時間から速度が計算されます。手根管で正中神経が圧迫されているので、いずれの検査でも異常値が現れますが、手根部での刺激が正常値と比較して最も低下した結果が得られます。

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