川崎病

川崎病

川崎病の前兆や初期症状について

川崎病の初期症状は非特異的であり、感染症などの区別が難しいため、診断が難しい場合があります。以下に主要な症状を挙げます

1.発熱

腋下温37.5度以上の発熱があり、川崎病の94-97%の症例で見られます。発熱は,治療が始まっていない場合には一般的に5日以上続きます。乳児では発熱に伴いとても機嫌が悪くなるのが特徴です。

2.眼球結膜の充血

93%の頻度で見られ、眼脂はほとんど認められません。白目の部分が血走ったような目に見えます。

3.口腔粘膜の変化

口唇の紅潮、ひび割れ、いちご舌(舌の乳頭が腫れて赤くなる)が見られます。口唇の発赤は長く残り、解熱後1-2週間続くこともあります。

4.四肢末端の変化

手足の紅斑や硬性浮腫が見られ、出現は5日以内で2-3日で消退することが多い傾向です。回復期には指尖部や爪周囲の皮膚に皺や亀裂が入ることもあります(膜様落屑)。

5.発疹

体幹や四肢に多様な形態の発疹が出現し、特に股間部に出やすいです。また、BCG摂取痕の変化は3-20ヶ月の間に70%以上の頻度で見られます。

6.頸部リンパ節腫脹

ほかの主要症状に比べると発現頻度は65%と低いですが、3歳以上では約90%の頻度で見られ、初発症状になることも多いようです。
その他、特異的ではないが川崎病で見られることがある所見

消化器症状
腹痛、嘔吐、下痢など、軽いものを含めると約3分の2の症例で見られます。
呼吸器症状
約3割の症例で鼻汁や咳嗽が見られます。
関節症状
2.0-7.5%の頻度で関節痛が見られます。

川崎病の前兆や初期症状が見られた場合に受診すべき診療科は、小児科です。川崎病は小児に多く見られる血管炎であり、小児科での診察が必要です。

川崎病の検査・診断

川崎病の特異的な診断法はありません。日本では厚生労働省川崎病研究班委員会によってまとめられた「川崎病診断の手引き」に従って診断が行われます。
川崎病の診断は、
発熱
眼球結膜充血
口腔粘膜の変化
四肢末端の変化
発疹
頸部リンパ節腫脹
上記の6つの主要症状のうち5つ以上を有する場合、または4つの症状しか認められなくても経過中に冠動脈瘤が確認され、ほかの疾患が除外された場合に行います。

診断の補助として行う検査として以下のものがあります。

1. 血液検査

血液検査は、川崎病の診断において重要な役割を果たします。炎症の程度やほかの疾患との鑑別を行うための情報を提供します。

白血球数
川崎病では白血球数が増加することがあります。
CRP(C反応性蛋白)
炎症の程度を示す指標であり、川崎病では上昇します。
アルブミン
血液中のアルブミン値が低下することがあります。
ナトリウム
低ナトリウム血症が見られることがあります。
肝機能
肝機能の指標(AST、ALT)が上昇することがあります。

2. 尿検査

尿検査も診断の補助として行われます。特に乳児において有用です。

尿中白血球
尿中に白血球が増加している場合、川崎病の可能性が高まります。

3. 心臓超音波検査(エコー)

心臓超音波検査は、川崎病による冠動脈の病変を確認するために行われます。これは川崎病の診断において大変重要です。

冠動脈の拡大
冠動脈の内径が拡大しているかどうかを確認します。
僧帽弁閉鎖不全
心臓の弁が正常に機能しているかを評価します。
心膜液貯留
心臓を包む膜に液体がたまっているかどうかを確認します。

鑑別診断
ほかの疾患を除外することも重要です。鑑別診断には以下のような感染症や薬疹、リウマチ性疾患があります。

アデノウイルス感染症

溶連菌感染症

EBウイルス感染症

エルシニア感染症

麻疹

Stevens-Johnson症候群

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