悪性リンパ腫の治療
悪性リンパ腫は①病型、②病期、③予後因子を総合的に判断して治療方針を決定します。
治療は化学療法、放射線治療が中心です。
化学療法
悪性リンパ腫は化学療法を中心に治療を行います。
化学療法に抗体療法を組み合わせて行います。複数の抗がん剤を併用する多剤併用化学療法が行われます。近年は抗体薬といわれる、がん細胞に発現している抗原を標的とした薬剤が増えており、治療の手段が増えています。抗体薬は一般的な抗がん剤と異なり腫瘍細胞のみを標的とするため、抗がん剤と比較して副作用は少ないとされています。
ホジキンリンパ腫に対する化学療法は、ABVD療法(ドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン併用療法)が一般的に行われます。細胞表面マーカー検査でCD30抗原が陽性であれば、抗CD30モノクローナル抗体のブレンツキシマブベドチンと化学療法を組み合わせた治療を行うこともあります。
非ホジキンリンパ腫に対する化学療法は、がん化した細胞の種類、病期や悪性度によってそれぞれ異なる治療法を選択します。化学療法はCHOP療法(シクロホスファミド、ドキソルビシン、オンコビン、プレドニゾロン併用療法)が標準的な治療法ですが、悪性度によってはさらに強力な治療が用いられます。
抗体薬が使用できれば化学療法と抗体薬を組み合わせて治療を行います。
たとえば、B細胞に現れるCD20抗原を対象としたリツキシマブという抗体薬は、CD20を発現しているB細胞性非ホジキンリンパ腫に使用されます。腫瘍にCCR4が発現していればヒト化抗CCR4モノクローナル抗体のモガムリズマブを使用する場合があります。
初回の治療で寛解が得られなかった、もしくは再発した場合は、前回と異なる薬剤を組み合わせた救援化学療法を行います。さらに強力な治療を行う必要がある場合は、造血幹細胞移植を行うこともあります。
放射線治療
I〜Ⅱ期の限局した病変に対して行われます。化学療法と組み合わせて行うこともあります。
経過観察
年単位の経過でゆっくり進行する低悪性度リンパ腫の場合、無症状であれば治療のメリットよりも抗がん剤の副作用のデメリットが上回るとされます。その場合は定期的な画像検査や血液検査を行い、病気が進行した場合に治療に踏み切ります。
その他の治療
胃MALTリンパ腫で限局期の場合、ピロリ菌の除菌によりリンパ腫が寛解します。
治療効果判定
化学療法や放射線治療で治療終了したあと、PET CTを施行し腫瘍が消失しているかを確認します。腫瘍が消失している状態を寛解といい、寛解を達成したらしばらくの間再発がないかを丁寧にフォローアップします。
悪性リンパ腫になりやすい人・予防の方法
悪性リンパ腫の原因ははっきりしないので、特別な予防法はありません。
しかしながら予後分類でお示ししたとおり、早期に発見される悪性リンパ腫のほうが予後は良いことがわかっています。体表にリンパの腫れのようなしこりができた場合は病院を受診し、必要に応じて検査を行いましょう。
参考文献
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/25_ml.html#anchor1
http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/table.html
配信: Medical DOC
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