5、50代の離婚〜夫への切り出し方
ここまで経済面について計算・準備をしてきたなら、いよいよ離婚を切り出すフェーズです。
しかし、今まで理想の妻・母であろうと夫に従順に従ってきたあなたが突然離婚を切り出せば、夫がパニックになることは必至でしょう。多くの男性は、妻を縛っていることに気づいていません。離婚を成功させるには戦略が必要です。
(1)夫に法定離婚事由はないか
夫婦が離婚に合意する場合は、自由に離婚できます。しかし、相手が反対する場合に強制的に離婚するためには法定離婚事由が必要となります。そのため、夫の反対が予想される場合には、夫に法定離婚事由がないかを確認しましょう。
法定離婚事由とは、民法第770条1項に列挙されている以下の5つの事情のことです。
1. 配偶者が不貞行為をしたこと
2. 配偶者から悪意で遺棄されたこと
3. 配偶者の生死が3年以上明らかでないこと
4. 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないこと
5. その他、婚姻を継続しがたい重大な事由があること
代表的な離婚事由として、浮気や不倫(上記1.に該当)、DVやモラハラ、セックスレス(上記5.に該当)などが挙げられます。
性格の不一致は原則として法定離婚事由に該当しませんが、それが原因で共同生活を続けることができないほどに夫婦関係が破たんしている場合は、上記5.に該当する可能性もあります。
50代の離婚では、直近において法定離婚事由はないものの、過去に浮気や不倫があったというケースも少なくありません。
浮気や不倫は民法上、違法行為なので法定離婚事由とされているのですが、3年が経過すると時効によって責任が消滅してしまいます。そのため、例えば夫が30代のときに不倫をしたことがあったものの、妻が子どものことを考えて夫の不倫を許し、夫婦生活を続けてきたような場合は時効が成立しているといえます。
この場合、上記1.を原因として離婚することはできません。ただし、そのときの不倫が原因で夫婦仲が悪くなり、子どもが独立するまで家庭内別居を続けていたようなケースでは上記5.を原因として離婚できる可能性があります。
具体的なケースで離婚可能かどうかについては、弁護士に相談して確認されることをおすすめします。
(2)別居を決行
明確な法定離婚事由がないけれど、どうしても離婚したいという場合は、早めに別居を決行することが有効です。別居するということは夫婦関係が破たんしていることの証となり、別居期間が続けば続くほど、上記5.を原因として離婚できる可能性が高まるからです。
別居しても、離婚が成立するまでの生活費は「婚姻費用」として夫に支払いを請求できます。
婚姻費用の支払いについてもめるケースも多いですが、事前にクレジットカードの家族カードを作っておき、婚姻費用の範囲内で使うと便利です。
(3)円満な話し合いを希望なら弁護士へ相談
夫に法定離婚事由がある場合もない場合も、二人きりの話し合いで埒が明かない夫婦はごまんといます。
話し合いが進まないということは離婚できないということを意味しますので、話し合いを進めるためにはあなたにとって強力な助っ人となる弁護士に相談しましょう。
離婚問題に詳しい弁護士に相談すれば、個別具体的な今の状況に合った協議の進め方についてアドバイスが得られます。
ケースによっては代理で交渉してもらうことも可能です。経験豊富な弁護士が法律に基づいて夫と協議をすることで、円満に離婚できる可能性が高まります。
50代の離婚に関するQ&A
Q1.50代の離婚の一番の鍵!「財産分与」とは?
財産分与とは、夫婦共有財産を離婚時に分け合うことをいいます。夫婦共有財産とは、夫婦か婚姻中に共同して築いた財産のことです。多くのケースでは、収入や資産が多い夫から妻へ財産を渡すことになります。
Q2.財産分与の割合とは?
財産分与の割合は、基本的に50:50です。つまり、離婚時には夫婦共有財産を原則として2分の1ずつに分け合うことになります。
通常、夫婦はお互いに助け合って生活しているため、財産の形成・維持に対する貢献度は同程度と考えられているからです。
Q3.財産分与の割合が1/2にならないケースもある?
特有財産がある
貢献度・寄与度が明らかに違う
配信: LEGAL MALL