7、配偶者暴力防止法(DV法)以外にも|緊急時はDVシェルターに避難
配偶者から暴力を受けている場合、すぐに家を出ることは難しい方が多いです。
夫がお金を握っているので賃貸住宅を借りるお金がないこともありますし、夫に探し回られて引っ越し先に押し掛けられ、暴力を振るわれるおそれがあるので怖くて出られないというケースもあるでしょう。
夫からの暴力にほとほと疲れてしまい、自分で賃貸住宅を探して引っ越しをする気力が残っていない方もいます。
そのような方は、「DVシェルター」と呼ばれる施設を活用してみてはいかがでしょうか?
DVシェルターとは、配偶者から暴力を受けて逃げている女性を一時的に保護するための施設です。
公営のものと民営のものがあり、施設の内容や対応もまちまちではありますが、DVシェルターに入っている限り夫は妻の居所を突き止めることができません。
シェルターの人が守ってくれるので安全ですし、子どもと一緒に入居することも可能です。
ただDVシェルターの場所は秘密になっており、シェルターに入っている限り外部との接触も制限されます。
ずっといるべき場所ではないので、数日あるいは数週間滞在して気持ちや状況が落ち着いてきたら、外に出て自活を始める準備をしましょう。
DVシェルターに入居したい場合には、警察に相談をするとつないでもらえます。
またシェルターを出た後、生活保護を受けたい場合には、福祉事務所に相談に行くと良いでしょう。
DV法にもとづいて福祉事務所の方も支援してくれますし、DVシェルターの職員の人が付き添ってくれるケースもあります。
8、配偶者暴力防止法(DV法)をふまえて|夫と接触せずに離婚する方法
DVを受け続けてきた人は、夫との離婚を希望されるケースも多いです。
別居した当初は夫による洗脳が解けないのでフラッシュバックしたり夫の元に戻りたい気持ちになったような気がするものですが、数日数週間が経過して状況が落ち着いてくると「許せない」「絶対に離婚したい」と強く思い始めるものです。
一般の方が離婚する場合には夫婦が話し合って離婚する「協議離婚」を選択することがほとんどですが、保護命令を必要とするほどの酷いDV事案では協議離婚は向きません。
DV夫は「離婚したくない」と思っていることが多く、妻から離婚を切り出されると怒って暴れ出したり「実家(友人)に洗脳されている」などと言い出して実家に逆恨みしたりして大きなトラブルになることがあるからです。
DV夫と離婚するならば、離婚調停を利用すべきです。
調停であれば、調停委員を介して話をするので、夫婦が直接顔を合わせて話をする必要がありません。
DVのケースでは、「別室調停」といって、夫と妻を別の部屋に待機させ、調停委員が間を移動することにより、絶対に二人が会わないようにしてもらうこともできる場合があります。
また、別室調停でなくても、呼び出し時間や終了時間をずらし、裁判所の外でも会わないようにする配慮は通常してもらえるでしょう。
さらに弁護士に依頼すると、弁護士がずっと一緒に行動してくれますし、裁判所の外まで同行してくれるので、安心感が高いです。
DVシェルターで離婚の相談をすると、職員が弁護士を探してくれるケースもありますし、シェルターを出てから、自分でネット情報などを参照して、離婚に強い弁護士を探す方法もあります。
まとめ
配偶者から暴力などの危害を受けている状態で我慢していると、あなたの身に危険が及びます。
今は配偶者暴力防止法ができて被害者を守る仕組みがあるので、要件に該当するならば保護命令を申し立てて、あなたやあなたのお子様の安全を守って下さい。
DVは違法行為であり、離婚の際には慰謝料も請求できます。夫婦の財産があれば財産分与も受けられます。
「運命だからどうしようもない」と諦める必要はないので、弁護士に相談するところから始めてみましょう。
監修者:萩原 達也弁護士
ベリーベスト法律事務所、代表弁護士の萩原 達也です。
国内最大級の拠点数を誇り、クオリティーの高いリーガルサービスを、日本全国津々浦々にて提供することをモットーにしています。
また、所属する中国、アメリカをはじめとする海外の弁護士資格保有者や、世界各国の有力な専門家とのネットワークを生かしてボーダレスに問題解決を行うことができることも当事務所の大きな特徴です。
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