一時停止違反に納得いかない場合の正攻法と不服申立ての方法

一時停止違反に納得いかない場合の正攻法と不服申立ての方法

一時停止違反(一時不停止・一時停止義務違反)の取締りに納得できない方も多くいらっしゃることでしょう。

今回の記事では、

一時停止違反の基準と罰則
納得いかない一時停止違反で処分を拒むとどうなるのか
一時停止違反に納得いかない場合の正しい対処法

について、弁護士が詳しく解説します。

弁護士相談に不安がある方!こちらをご覧ください。

1、一時停止違反に納得いかない!処分を一方的に拒むとどうなる?

最初に確認しておきたいことは「一時停止違反を現場で撤回してもらうことはほぼ不可能」という点です。現場は丸くおさめて罰金を無視するドライバーも見られますが、お金がない・払えないからといって、処分が自然に消滅するわけでもありません。

いずれにしても、自分から正しいやり方で処分取消しに向けて動かないと、かえって不利益を被る可能性が高いといえます。

(1)警察にしつこく抗議するのはNG

ドライバーの違反行為を取り締まる警察は、明らかな誤認であっても現場では認めようとしないのが常です。

しかし、ここでしつこく食い下がると、道路交通法違反ではなく、刑法第95条で規定する公務執行妨害(1項)、もしくは職務強要罪(2項)で逮捕される可能性があります。

上記どちらの容疑であっても、もし有罪判決が下れば3年以下の懲役・禁錮または50万円以下の罰金となり、一時停止違反とは別次元の重い処分となるので注意が必要です。

(2)青切符にサインしないとどうなる?

現場ではとりあえず一時停止違反を認めておくとなると、通称「青切符」(違反切符、交通反則告知書とも呼ばれます。)へのサインを求められます。

青切符にサインすると、基本的には「一時停止違反をした」と自分で認めたと判断されます。

サインを拒否してもペナルティは特にありませんが、軽微な違反について反則金を納めることで裁判を省略できる「交通反則通告制度」の適用がなくなるという問題があります。

分かりやすく言えば、青切符のサインを拒むということは、最悪刑事裁判で白黒をつけることになる可能性があるということです。

もし裁判で黒と判断されてしまい、違反が認められると、最終的には以下のような処分になります。

▼一時停止義務違反で青切符にサインしなかった場合のリスク

3か月以下の懲役or5万円以下の罰金
過失だったとしても10万円以下の罰金
有罪判決を受けると前科がつく

(3)青切符にサインしたのに反則金の納付を拒否するとどうなる?

青切符にサインして警察官から反則金の納付書を受け取ると、その翌日から数えて7日以内に支払いを済ませる必要が生じます。

この期間内に「やっぱり違反には納得いかない」として反則金を支払わないと、交通反則通告センターから書面で「納付してください」という通告が届きます(青切符にサインをしなかった場合でも、この通告が届きます)。

それでも支払いをしない場合、刑事事件として検察庁から出頭要請があり、検察官の取り調べを受けることになります。

取り調べでは検察官に自分の言い分を主張することができます。

そこでも違反したことを認めなかった場合、検察官が起訴・不起訴の判断をします。そこで起訴と判断されると、刑事裁判へと進みます。

2、一時停止違反を認めた場合の罰則

一時停止違反を認めると、実際に一時停止違反があったかに関わらず、反則金7千円(踏切での一時不停止は9千円)の納付義務と違反点数2点が課せられます(普通車の場合/道路交通法施行令(別表)より)。これは交通違反事案全体から見るとそれほど重い処分ではありませんが、自分が違反をしていないのに支払う代償としては大きいと感じるかもしれません。

ここで一度、罰則の内容と取締り状況を確認してみましょう。

(1) 反則金の額

普通車のドライバーが一時停止違反を認めた場合、反則金は7千円です。

踏切での一時不停止の場合は少し金額が上がり、9千円となります。

大型車やバイクで違反した場合は、次のように金額が変わります。 

▼一時停止違反の反則金額

普通車……7千円
大型車……9千円
二輪車(排気量50cc超)……6千円
原付車(排気量50cc以下)……5千円

▼踏切での一時停止違反の反則金額

普通車……9千円
大型車……1万2千円
二輪車(排気量50cc超)……7千円
原付車(排気量50cc以下)……6千円

 一時停止違反で加算される違反点数は、車種に拘わらず2点と定められています。

過去3年で初めての違反なら、免許停止や免許取消しの処分はありません。

ただし、違反を繰り返して過去3年間の合計点数が基準に達すると一定期間免許停止処分となり、その後も違反点数が増え続けると免許取消し処分が下ります。

参考:行政処分基準点数(警視庁)

(2)一時停止義務違反の発生状況

警察白書によれば、令和2年・令和3年と連続して、違反事案全体の実に3割程度が「一時不停止」「踏切不停止等」となっており、速度超過を上回る最も多い違反類型となっています。

こうして統計に上がってくる以上、多くのドライバーは罰則を受け入れているものと考えられます。

また、現場の警察官も件数の多い一時停止違反は日ごろから強く意識しており、ドライバーの認識よりも厳しい基準で見張られていると考えた方がいいでしょう。

(3)反則金の告知・納付状況

違反者全体に占める反則金の納付率をみると、令和3年、令和2年はいずれも96.7%、令和元年は96.2%と、毎年高い水準を維持しています。

つまり、交通違反の指摘を受けた人の多くは反則金を納付しているという現状は知っておいた方がいいでしょう。

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