初のMステ出演でタモリ氏に……
メンバーや関係者の不安を覆すかのように、オリコン週間チャート4位を獲得し爆発的なヒットを遂げた「Lifetime Respect -女編-」。Sakiさんは当時、「自分事として受け止められなかった」そうです。
「正直、『うわっ、すごい』と他人事な感じがしていました。もちろん私も一生懸命練習して歌ったけど……他のメンバー、レコード会社の人、事務所の人、三木道三さん、たくさんの人が関わった中で、声を出した一人でしかないと思っていたんです。年末の歌番組で最優秀新人賞をもらったときも、メンバーは泣いているのに、私だけ若干冷めているというか。当時の性格的に、ちょっと冷静な自分がいつも隣にいる感覚があったんですよね」
いちばん感動を味わったのは、ミュージックステーションに初出演したときだったとか。
「出演が決まったときも生放送で出たときも、すごく嬉しかったですね。タモリさんに『福岡出身です!』って言えたし(笑)。Mステ出演者は記念にティッシュをもらえるんですが、嬉しくてすぐに使い切りました。願掛けじゃないけど、使わないと次も出られないって思っちゃって」
4thシングル「M ~もうひとつのラブストーリー~」で再びMステへの出演が叶ったときの経験は、今でも印象に残っているそうです。
「曲の最後のほうで、音が落ちてリズムが一瞬なくなる部分があるんです。私のロングトーンのあと一拍くらいの沈黙があり、もう一度私の歌から音が戻ってくる。カウントをひとつ間違えたら、リズムが合わなくなってめちゃくちゃになる大事なパートです。それを生放送で、ちゃんとカウンターを当てにいったのは、『めっちゃ怖いのにようやったな』と今でも思います。
一定のテンポを保ち続けるタイム感や、リズムの大事さを掴むのに必死だったからできたけど……もしミスっていたらと思うとゾッとするし、事故が起こらなくてよかったよねって(笑)」
メジャーアーティストから「音楽活動家」へ
RSPの解散後、Sakiさんは表舞台から離れることを選びます。以降、ジャズシンガーやボイトレ講師としてひっそりと活動する中で、「自分の名刺代わりになるソロアルバムを作りたい」という目標を抱くようになりました。再び大勢の人の前に戻るターニングポイントとなったのは、ライブ配信への挑戦です。
コロナ禍で音楽業界の先輩から誘いを受け、2021年の1月から配信アプリ「Pococha(ポコチャ)」でライバーを開始。今やトップライバーとしてフェスなどにも参加し、ドキュメンタリー映像も制作されるなど、新たな形で注目を集めています。
Sakiさんにとってライブ配信とは、「自分の大事な場所」なのだとか。
「振り返ってみれば、昔から“組織に属すること”が苦手でした。RSP時代もグループの中で自分を上手く出せなかったり、バランサーになったり、出方を間違えたり。人に遠慮して伸び伸びとできないことに悩んでいたんですね。でもライブ配信って自分が中心で、何もかも自分の自由。失うものと得るものがハッキリしていて、合わない人は合わないけど、残ってくれる人もいる。そのスッキリしている感じが気持ちよくて。
でも、『ライバーさんですか?』と聞かれると、自分の肩書についてなんて説明したらいいか分からないかな。シンガーソングライターで、ライバーで、ボイトレの先生。一般向けの楽曲制作もやっているし、活動はすごく多岐に渡ります。音楽を中心とした活動家、みたいな感じかもしれないですね」
配信: 女子SPA!