供述調書とは?供述のポイントや注意点をわかりやすく解説

供述調書とは?供述のポイントや注意点をわかりやすく解説

供述調書(きょうじゅつちょうしょ)とは、裁判における重要な証拠の一つで、被疑者や参考人の証言がまとめられた書類のことです。

今回は、裁判の際に重要な証拠となる供述調書が作成される際の注意点やポイントなどについて、詳しく解説していきます。

1、供述調書とは?

供述調書は、そこに書かれた内容は実際に存在したと認定される書類です。

そのため、嘘や事実に反することなどが書かれたにも関わらずサインをしてしまえば、後に撤回・訂正しようとしても非常に厳しいわけです。

大変慎重に作られなければならない書類であることがおわかりいただけると思います。

裁判でも重要な証拠となるため、捜査の初期段階であまり深く考えずに捜査官に同調しただけの供述が、後々、裁判の帰趨を左右するケースも少なくありません。

被疑者になってしまった場合には、自身の供述を書きとめた供述調書が作成されるときには、内容を細かくチェックする必要があります。

供述調書がここまで強力な力をもつには、刑事訴訟法321条以下に規定されている種類ごとの要件をみたし証拠能力が認められるつことが必要です。

証拠能力が認められない場合には、たとえ提出されても裁判では存在しないものとして扱われます。

(1)供述調書の信頼性、法的証拠能力

先ほども記載したとおり、供述調書は裁判において重要な影響力を持っています。

裁判における証拠は、供述証拠と物的証拠の2種類がありますが、有力な物的証拠が見つからなかった場合、被疑者や参考人の供述証拠の内容が特に重要な意味を持ちます。

(2)供述調書には

供述調書は、その供述者によって内容が分かれることがあります。

そのため、たとえ供述者が記憶に従って答えていたとしても、見間違いなど事実と異なる内容で作成されることも考えられますし、また、ニュアンスがうまく伝わらないままになっていて供述者が思うものとは乖離した内容になってしまうことも起こりえます。

そういったことも踏まえ、細かく内容をチェックし、自分の供述どおりの内容になっていることを確認した上で供述調書にサインをするようにしましょう。

(3)供述調書の内容例

供述調書には、被疑者の個人情報(氏名、住所、生年月日、職業、電話番号など)が上部に記載され、以降は事件の内容が、一人称で語る形で細かく記載されます。

【記載例】

・個人情報(氏名、住所、生年月日、職業、電話番号など)

・私は、◯月◯日深夜◯時◯分ごろ、神奈川県小田原市◯町にあるバー「◯◯」で、隣にいた男性客を酒に酔っ払って体当たりをして、全治1年の負傷を負わせてしまいました。

当時の状況について、お話します。

・私は、事件当時、そのお店で500mlの缶ビール4本、ワインボトルを1本空けたところまでは覚えていますが、その後の記憶がありません。

・けがをさせてしまった方とは面識がなく、顔も覚えていません。

2、供述調書はどのように作成される?

供述調書は、どのようなタイミングや流れで作成されるのでしょうか?

(1)作成のタイミング・作成者

供述調書の作成は、取調べを行った後のタイミングで行われます。

取調べによっていくつかの質問をされ、その内容をもとに、捜査官によって作成されます。

供述調書の作成は義務ではなく、警察などの捜査官が必要だと判断した場合のみ、作成されます。

(2)作成の流れ

取調べにおいて、警察などの捜査機関は、事件に関する事実について被疑者に質問を行います。

供述に沿って供述調書が作成されるのですが、必ずしも供述がそのまま記載されるわけではありません。

まずは事件が起こったときの被疑者の行動、犯行の具体的な方法など、細かな質問がいくつか用意されて取調べが行われ、その内容をもとに、捜査官が文章にまとめていくのが基本的な流れです。

取調べにかかる時間は、最短でも1.5時間ほどはかかる場合が多いです。

また、警察などの捜査官は、供述調書を作成する時に、「これは重要な書類だからしっかり目を通してね」などと伝えてくれるとは限りません。

しかし、冒頭でも記載したように、被疑者・被告人本人の供述調書の内容は、裁判において重要な証拠として扱われます。

そのため、捜査官による質問に対して絶対に嘘をつかない(不利なことを黙っていることは許されるので、嘘をつくくらいなら黙秘しましょう)、事実と違う内容で記載されている場合にはサインをしない、と注意して臨んでください。

サインをしてしまうと、たとえ記憶と異なる内容だったとしても「正しいからこそサインをしたはずだ」と評価されてしまいます。

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