マイホームを購入するのに住宅ローンを組みたいけど、過去に自己破産した経験があると、住宅ローンの審査は通るのかなど、不安に思う方も多いと思います。
そこで、自己破産しても住宅ローンの審査にパスできるのか?などの疑問ついて、詳しく解説します。
「自己破産 デメリット」に関する詳細はこちらの記事をご覧ください。
1、自己破産後に住宅ローンは組める?
自己破産のデメリットのうちの一つが、今後借り入れをすることが難しくなるという点にあります。
自己破産は、法律的に認められている手段とはいえ、言葉は悪いですが、借金を踏み倒したのと同じことですから、過去にそのような経験がある人に貸し付けをするのはリスクがある、と金融機関が判断するのも無理はありません。
自己破産をした方の側も、過去に借金で苦しんだ経験がありますから、金利の高いカードローンや消費者金融等はもう利用しない、と思われていることが少なくありません。
ただ、住宅ローンだけは事情が異なります。自己破産をされた方でも、賃貸で家賃を払い続けるなら住宅ローンを組んで家を購入したいと思われる方も多いと思います。
住宅の購入は高額であるため、現金で支払うというのはほぼ不可能ですから、どうしてもローンを利用する必要があります。
住宅ローンは金利も低いので、それが原因で再度多重債務に陥るということも考えにくいといえます。
しかし、そのような場面で、過去に自己破産をしていることがネックになってしまいます。
自己破産後に住宅ローンを組む方法はあるのでしょうか?
結論としては、自己破産後すぐには住宅ローンを組めません。住宅ローンを組むためには、自己破産後、5年〜10年経過していなければならないのです。
2、自己破産をした後に住宅ローンの審査を通す6つの方法
では、過去に自己破産した方が住宅ローンの審査を通すにはどのような点に注意すればよいでしょうか。
(1)信用情報機関における自己破産情報の登録が消えるのを待つ
まず一番大切なのは、住宅ローンの審査を行う金融機関に、過去に自己破産したことを知られないようにするという点です。
自己破産したという情報は、信用情報機関に登録されます。
このことを「ブラックリストに載る」などといいますが、ブラックリストというリストがあるわけではなく、信用情報機関に自己破産等の事故情報が記載されている状態をいいます。
信用情報機関によって登録される年数は異なりますが、CICやJICCは5年、全国銀行協会(全銀協)は10年と言われていますから、自己破産してから10年経過すれば、全ての信用情報機関から自己破産したとの情報が抹消されるようです。
ですから、まずは、自己破産の情報が抹消されるまで待つことが大切です。
なお、期間を経過しても、情報の消し忘れ等で信用情報機関に、過去の自己破産の情報が残ったままになっていることが稀にあります。
そのため、まず、期間を経過したら、該当の信用情報機関に自己の情報の開示を請求して、自己破産の情報が抹消されているかどうかを確認する必要があります。
もし、期間が経過しても情報が残っている場合は、その情報を抹消していない金融機関(貸金業者)に免責決定通知等を送って、情報を抹消してもらう必要があります(信用情報機関における情報は、貸付業者毎に載っているので、自己破産当時5社に借り入れがあった場合、5社ともの記録が抹消されていないといけないということになるのです)。
(2)クレジットヒストリーをつくる
信用情報機関から情報が抹消されると、その方の信用情報を調べても何も出てこない(いわゆるホワイトの状態)になります。ただ、昨今の社会状況の中で、クレジットカード1枚すら所有していない、という状態は、審査をする側から見ると、かえって、何かカード等を作れない理由があるのではないかという疑念を抱かせます。
そこで、CICやJICCの記録が抹消される5年後以降に、契約時に全国銀行協会の情報を参照しない業者でクレジットカードをつくり、少しだけ利用してきちんと返済をし、その記録(これをクレジットヒストリーといいます)を信用情報機関に残すことが大切です。
なお、携帯電話の機種本体代金の分割払いもクレジットヒストリーの一つとなるので、携帯電話を利用している人は、代金の支払い遅れ等がないようにすることが大切です。
(3)金融機関を選んで審査の申し込みをする。
前記のとおり、自己破産をしたという情報は、10年経過すれば、信用情報機関から抹消されます。
しかし、自己破産当時借り入れをしていた業者の社内データからは消えることはありません。
例えば、自己破産当時、三菱東京UFJ銀行のカードローンを利用していたときは、信用情報機関における情報が抹消された後も、三菱東京UFJ銀行の社内データには残っている可能性があるのです(金融機関がこのようなデータを残していても違法ではありません)。
ですから、住宅ローンを申し込む時は、自己破産当時に借り入れのあった金融機関やその系列の金融機関はなるべく避けたほうが良いといえます。
また、審査が厳しくないという観点からいうと、銀行系ではない、住宅金融支援機構やノンバンクで申し込むのも良いかもしれません(ただし、ノンバンクは利息が高い傾向にある点に注意が必要です)。
特に、フラット35で知られる住宅金融支援機構では、一般的な銀行とは審査基準が異なるので、仮に過去の自己破産歴が判明したとしてもそれだけで絶対に審査が通らないというわけではないようですし、金利も低いので、過去に自己破産歴がある方にとっては、住宅ローンの申し込み先として検討すべき金融機関の一つとなるといえます。
(4)パートナーや親が借入をする
共働き等でパートナーに十分な信用がある場合や親の年齢がそれほど高くない場合には、パートナーや親の名義で借り入れを行うことも一つの方法です。
もちろんパートナーや親が年齢の要件や収入要件を充たしていることが前提となります。
ただ、この場合、実際、中心となって返済をしていくのは自己破産をした方でしょうから、家族の間で返済についてしっかりと話し合いをしておくことが大切です。
(5)自己資金を多めに用意する。
住宅ローンの審査を少しでも通りやすくする方法として、自己資金(頭金)を少しでも多めにすることです。
例えば5000万円の住宅を購入する場合に、自己資金が500万円の場合と、5500万円の住宅を購入する場合に、自己資金が1000万円の場合では、借り入れる金額は同じ4500万円ですが、後者の方が審査に通りやすいといえます。
物件の担保評価に対しての借入額の割合が少なくなることや、それだけの現金を用意していることへの信用力があることが審査を通り易くするのです。
自己破産をすると、少なくとも10年は信用情報機関に情報が残りますから、その期間を利用して逆に頭金を貯めておくくらいの準備が大切です。
(6)複数の金融機関に連続して申し込みをしない
自己破産後に住宅ローンを申し込む場合、連続して複数の金融機関に申し込みをするのは避けた方がよいでしょう。
例えば、自己破産後10年が経過し、信用情報機関から自己破産の情報が消えたことを確認してから申し込んだ場合でも、その金融機関が、過去の借入先の系列金融機関だったために、過去の自己破産を理由に審査を否決したとします。
そうすると、6か月間は、信用情報機関に、その審査否決の情報が残ります。
他の金融機関で審査否決となったという情報(いわゆる、「申し込みブラック」の状態)があると、それ以外の金融機関もマイナスにとらえるため、どうしても審査に悪影響を及ぼしてしまいます。
ですから、1つの金融機関で審査を否決された場合は、6か月以上、間をあけてから、別の金融機関に審査を申し込むのがよいでしょう。
住宅ローンの申し込みをする段階では、希望の物件も決まっていることでしょうから、一つの金融機関で審査が通らなくても、すぐに、別の金融機関に申し込みをしたいという気持ちもわかります。
販売する不動産業者も、そのように勧めてくることが多いと思います。
ただ、自己破産歴のない方であればともかく、自己破産歴がある方は、そもそも審査が通りにくい状況にあるのですから、審査の申し込みは慎重に行うべきです。
配信: LEGAL MALL