霊媒師と結婚の王女もハマった?“運命の相手”思想…思い込みでストーカー行為が止まらない

霊媒師と結婚の王女もハマった?“運命の相手”思想…思い込みでストーカー行為が止まらない

―連載「沼の話を聞いてみた」―

スピリチュアルコンテンツを通じて出会い、結婚――たびたびこんな出来事を耳にするが、価値観の近いパートナーとめぐり合うのは、喜ばしいことだろう。

昨今のニュースだと、ノルウェーのマッタ・ルイーセ王女が思い出される。

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王女は「天使と話すことができる」などの特別なパワーがあることを公言しており、米国のスピリチュアルガイド・デュレク氏の顧客となったことをきっかけに交際へと発展し、今年8月に結婚したのだ。

デュレク氏もまた、「2001年の米同時多発テロを事前に予知した」などの特殊能力を自称する、シャーマンである。

前世でも結ばれていた


ふたりの出会いが「前世」だと主張されている点も興味深い。デュレク氏の前世は古代エジプトのファラオで、ルイーゼ王女は当時の王妃だったそうな。

日本でも「前世は卑弥呼」などの主張はびっくりするほどたくさん転がっており、スピリチュアル界でよく聞く話ではある(卑弥呼は一体何回転生した設定になっているのか?)。

そして、ルイーセ王女のInstagramによると、そうした縁のあるふたりは「魂で繋がったパートナー(ツインフレーム)」なんだとか。



荒唐無稽に聞こえるが、ふたりの絆の物語であり、共感できる人が楽しめばいい類の話だろう(全世界に発信すれば、そりゃある程度ツッコまれることは必須だが)。

しかしこうした世界観は、一方的なものであると当然トラブルになる。今回は「ツインレイ」という考えにハマった女性に夫婦で振り回された、佐倉亜紀さん(仮名)の体験談である。

「ツインレイ」=運命の相手

亜紀さんは、2人の小学生を育てる30代の専業主婦。カジュアルな雰囲気のバーを経営する夫と、4人で暮らしている。亜紀さんが夫の店を手伝うこともあり、店の常連客とも顔なじみだった。泥酔するようなタイプの客は少なく、健全で和やかな空間として、多くの客に愛されていた。

ところが、あるときから状況が一転した。常連客のひとりである女性・ヒナさん(仮名)が、亜紀さんの夫を、自分の「ツインレイ」であると主張しはじめたのだ。



ツインレイとは、スピリチュアルコンテンツでは「魂の片割れ」と説明されている。「Ray」はそのまんま訳すと「光線」。一つの光=魂だったものが二つにに分かれて生まれてきた、という感じのものらしい。要は「この世でひとりの、運命の相手」だろう。

少女漫画の金字塔『ガラスの仮面』で、社会的立場も年齢差もカップルとしてはかなり無理のある、主人公のマヤと真澄が、幾多の困難にぶつかってもなお「魂の片割れ……!」と惹かれ合う展開があるが、あれもツインレイだと説明できそうだ。

冒頭のルイーセ女王のInstagramで登場した「ツインフレーム」は、この世に数人いる魂のパートナーなんだとか。対してツインレイはたったひとりの相手であると、説明しているWEBサイトを多々見かける。つまり、後者のほうが覚悟がキマってる印象である。



また、「ツインレイは体の相性が抜群」だの、「ツインレイと出会うと、前兆として生理不順になる」だのという解説も多く、ネットで検索すればするほど不思議な森へ迷い込んでいく感覚があった。

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