■仕事を辞めて初めて気づいたこと
ーー結婚って本当にタイミングなんですね。ただ、結婚して静岡へ行く、仕事を辞める、というのは大きな決断だったのでは。
竹内 そうですね。特にその頃は東京五輪を控えていて、自分が辞めることで職場に迷惑がかかってしまうだろうなと感じ、それは一番心苦しかったです。
子どもが欲しいとか結婚したいという自分の思いと、でも仕事でみんなに迷惑を絶対にかけるし、こういうお仕事を任せてくれた上の人にも申し訳ないし……そういう葛藤はやっぱりありました。
ーーすごく等身大の悩みというか、多くの働く女性にとって同じような事で悩むタイミングはありますよね。
竹内 難しいですね。そして退社し、その後なにをするというプランもなく白紙の状態で浜松に向かいました。そして専業主婦としての生活が始まったのですが、しばらくすると自分は向いていないということに気が付きました。
ーーまさかの展開。
竹内 20代は仕事ばかりだったので、実際に仕事を辞めたら、何もない時間をどう過ごせばいいかわからなくて。もっと家のことを頑張れれば良かったんですけど、私は整理整頓が苦手で、残念ながら興味も持てませんでした。
一方で「何かしないと」という気持ちはどんどん強くなって、毎日カフェでひたすら書き物をしていました。何を書いていたんだかもうよくわからないんですけど、結局そんな生活が少し続いたところで、「ちょっと私、やっぱり働いた方がいいタイプかもしれない」って夫に告げました。
事務所に所属し心機一転、仕事を再開した頃(竹内由恵さんInstagramより)
ーーどんな反応でしたか?
竹内 「落ち込んでいるし、やってみたらいいじゃない」と最初は背中を押してくれました。実はその頃、妊活がうまく進んでいなかったのもあって、気持ちがふさぎがちなのを知っていて、理解してくれたのです。
そしてちょうどその頃アナウンサーの経験を生かしてお仕事させていただけるというお話をいただいたので、その息苦しい状況を打破すべく挑戦したいなと思って、事務所に入ることにしました。
ただ、その後、積極的に仕事をするようになると、夫は、「言っていたことと違う……」と戸惑っていました。でも自分でもそうなるまでわからなかったので、こればっかりは仕方がないですね!(笑)
ーー最終的にはわかりあえたのですね。
竹内 まだ結婚して5年ぐらいですが、そういうぶつかり合いをたくさん経験して、家族で平和に過ごすには何が一番いいのかを模索した結果、お互い理解が深まったのかなと思います。夫も今では私に対して「ああ、この人は仕事がないとダメなんだ」と思ってくれていて……というか、諦めたみたいです(笑)。今は応援してくれています。
竹内由恵さん/タレント、元テレビ朝日アナウンサー
(竹内由恵さんInstagramより)
慶應義塾大学法学部政治学科卒業。08年、テレビ朝日入社。『ミュージックステーション』『やべっちF.C.』など数々の番組で司会をつとめる。Mステ8代目サブ司会として、番組史上最長の5年間を担当。15年には『スーパーJチャンネル』メインキャスターに。19年3月に一般男性との結婚を発表し、同年末日にテレビ朝日を退社。夫の勤務地である静岡県に移住後、数カ月の専業主婦期間を経て、タレントとして活動を再開。21年に第一子、23年に第二子を出産。
『なんとかなるさ!ヨシエのとほほ、くすくす日和』祥伝社
(写真:本人提供 取材・構成:マイナビ子育て編集部)
配信: マイナビ子育て
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