いつもと同じものを食べているのに、いつもよりしょっぱく感じたり、味が薄く感じたり。妊娠すると味覚が変わるというのはよく聞きますが、実際はどうなのでしょうか?
一般社団法人日本味覚協会代表で、味覚診断士の水野考貴さんにお話を聞きました。
”妊娠すると味覚が変わる”は本当だった!?
まずはじめに、妊娠と味覚の関係について聞きました。妊娠すると味覚が変わるというのはよく聞きますが、それは本当なのでしょうか?水野さんは、「これまでの研究では、妊娠すると、特に妊娠初期から中期にかけて、味覚感度が低下することが報告されています※(1)」と、話します。
“妊娠すると味覚が変わる”というのは、ただの噂ではないかと半信半疑でしたが、科学的に証明されているのですね。
また、生理周期によっても、それぞれ味覚に特徴があるのだとか。では、どのような変化があるのか、聞いてみました。
「スロー期(黄体期、生理前)にはハッピー期(卵胞期、生理後)と比べ味覚感度が低下すること※(2)。またスロー期(生理前)には甘い食べ物の消費量と晴好性が増すことが報告されています※(3)。また、リフレッシュ期(月経期、生理中)には塩味感度が高くなり、逆にスロー期(生理前)は塩味感度が低下することも報告されています※(4)」(水野さん)
※月経周期と味覚感度は関係ない、という報告も複数あります。
つまり、スロー期(生理前)には、甘い物が食べたくなり、実際に食べる量も増えやすいということ。さらに、その甘みを感じにくくなるということ。スロー期(生理前)は、太りやすい時期ともいえるのかもしません。
エストロゲンやプロゲステロンが影響!?
では、妊娠初期やスロー期(生理前)は、どうしてこのように感じるのでしょうか?「この現象には、エストロゲンやプロゲステロンなどのステロイドホルモン(月経ホルモン)の関与が示唆されています」と、水野さん。
さらに、以下のように続けます。
「スロー期(生理前)には、エストロゲンやプロゲステロンの分泌が増加傾向にあり、プロゲステロン増加に伴う知覚鈍麻作用が味覚機能低下に影響していることが示唆されています※(5)。また、ラットを用いた実験では、エストロゲン投与により砂糖水を感知する能力が低下することが報告されており※(6)、エストロゲン増加により甘味感度が低下する可能性が考えられます」(水野さん)
いつもより味が薄く感じてしまうことや食欲が旺盛になることで、塩分や糖分の摂りすぎにもつながるので、要注意です!
配信: カラダのキモチ