自分は夫としてちゃんとやっているつもりなのに、なぜか妻の機嫌が悪い。その理由を麒麟・田村裕さんが言語化してくれました。
10歳と8歳の女の子と、4歳の男の子を夫婦で育てる田村さんが綴った新刊『ホームレスパパ、格差を乗り越える 何も変わらなかったから考え方を変えた』(KADOKAWA)から一部をお届け。
第四回は前回に引き続き夫婦関係について。一方通行の思いやりは、相手にどう映っているのでしょうか?
自己満足に気を付けて
前回の「プレゼントは喜ぶもの以外買うな!」にも通ずる話です……。
これをやっちゃってる人、結構居ると思うんですよね。
特に男性に多いと思います。僕もそうなんですが……。
例えば、結婚記念日にプレゼントを買って渡しているから、自分はちゃんとしているって思っていたりしませんか?
記念日を忘れずにやっているから良い旦那だよね? みたいな。
または、休みの日にご飯を作って、家族に時間を使っているから頑張っているよね? 評価に値するよね? とか。
さらに、夜何時に帰って来ても、子供の送りだけはちゃんと朝起きてやってるんですよ! とか、ゴミ捨ては僕の当番なんでずっとやってます! とか。
プレゼントを渡したり、家事をやったり、休日を家族に使ったり。
全てとっても素晴らしい行動で偉いんですが、自分の中では10ポイント入っていても、奥さんも同じ評価とは限りません。
ここに気を付けて、ポイントが揃うようにしておく、価値観を共有しておく、ということが、夫婦や家族にとってとても大きいことのような気がしています。
(よしもとクリエイティブアカデミーで講師も務める田村さん/提供写真)
結婚記念日に、一生懸命選んだネックレスをあげたとしましょう。
これはめっちゃポイント稼げますよね。カップルの時の記念日で同じような行動をしていたら、こっちが10ポイントだと思っていても、相手は20ポイント入れてくれている、なんてこともあるでしょう。
しかし、結婚して毎年のことになり、旦那さんのプレゼントセンスに信用が無ければ、せっかく時間とお金を使ってプレゼントをしても、喜んでもらえない可能性がございます。一生懸命やっておられるのに申し訳ありません。奥さんが前々からほしいネックレスでもない場合、夫婦の財産である大事なお金を使って、要らんもん買ってくるなよ、とポイント加点どころか、むしろ減点されている可能性すらあります。
旦那さんが気付いていないだけで、奥さん側は、もう大丈夫やでとか、ご飯でも十分やでとか、それとなく言っている可能性もあります。しかしそれにも気付かず、毎回喜んでほしい気持ちやサプライズ好きのテンションMAXでプレゼントしている場合は、奥さんはもう諦めていることでしょう。これは1000%減点対象です。奥さんからしたら、ごく稀に嬉しいものの時もあるし、その行動自体は嬉しいところが歯痒いですね。
相手がほしいものをプレゼントしてはじめて、ポイントを稼ぐことが出来ます。自分勝手に選んで、ほら、俺、ちゃんとやってるやろ? という自己満足は危険です。奥さんがめっちゃサプライズ好き、家計を一切心配しなくていい大金持ちなど、これに当てはまらないケースももちろんあると思いますが……。
最高得点を叩たたき出すためには、普段の会話や行動から奥さんがほしいものを導き出し、生活のリズムやスケジュールの中で、邪魔にならないタイミングでサプライズで渡すのがベストでしょうか? この考えですら、女性からしたらズレまくっていたりするんでしょうか?
僕は予想を大胆に外して、奥さんがほしくないものを、予定が詰まっている一番イライラするタイミングで放り込んでしまう自信があるので、もう勝負はしません。これは喜んでもらえるなぁとそこそこ自信があるものでも、奥さんにほしいか確認してから、驚きも何もないタイミングでシンプルに渡します。減点にはならないやろう、くらいのラインでプレゼントや買い物を頑張っています。
(田村裕さん提供写真)
家事でも同じことが言えるようです。
家事というのは何でも手伝えば良いってものじゃないって知ってましたか?
奥さんがやってほしい家事の順位ってものがあるんですって。
洗い物が「奥さんのやってほしい家事ランキング」の上位でなければ、どんなに洗い物を頑張っても大してポイントは稼げないらしいです。もちろん助かるのは助かるみたいですが。
ご飯も作ってほしいタイミングがあるようです。
昨日の残りものがあって、今日の晩ご飯は困らんなぁ、と奥さんの中で計算が立っているところに、休みやからって張り切ってこれ見よがしに5品くらいおかずを作ってみてください。この残りものはどうすんねん、いつ食べんねん、と嬉しさの中にイライラも発生してしまいます。
少ない時間で効率良くポイントを稼ぐには、奥さんが一番めんどくさいと思っている家事をやることです。奥さんが何が嫌で、一番のストレスになっているかしっかり把握しておいて狙い撃ちしましょう!
この書き方だと、少ししかやりたくないようなニュアンスがあって鼻につくかも知れませんが、ピンポイントの家事でやった気になって自己満足していると危ないですよ、という話ですからね。そりゃあ家事をやれるだけやって、奥さんの負担を減らせるだけ減らせるのが理想ですからね! だって家事は夫婦の仕事なんですから! 絶対そうです! そうに決まってます! それがもちろん僕も理想ですよ!
でも現実問題、仕事から帰って来て、家に居る時間もずっと動き続けるのは僕には無理でした。睡眠時間も心や脳を休める時間もしっかり必要なタイプでした。なので僕は奥さんにそれを伝えて、お互いに支え合って良いバランスが取れていると思っています。
これで来年、僕が離婚していたら、言うてるお前が全て自己満足やったんかい! と笑ってください。
麒麟 田村裕さん/芸人
1979年生まれ。大阪府出身。1999年、川島明さんと共にお笑いコンビ・麒麟を結成。2001年に『第1回M-1グランプリ』で決勝に進出し、2003年から2007年まで『M-1グランプリ』決勝戦に連続出場。2007年、自伝的小説『ホームレス中学生』(ワニブックス)がミリオンセラーに。現在は麒麟としてバラエティ番組などに出演するほか、俳優としても幅広く活躍。芸能界を代表するバスケ通で、関西を中心にバスケットボール教室をプロデュースしている。2011年に一般女性と結婚、10歳と8歳の女の子、4歳の男の子のパパ。
Instagram@hiroshi9393
YouTube 麒麟田村のバスケでババババーン!
ホームレスパパ、格差を乗り越える 何も変わらなかったから考え方を変えた(田村裕著、KADOKAWA刊)
(写真:本人提供 構成:マイナビ子育て編集部)
※本記事は、『ホームレスパパ、格差を乗り越える 何も変わらなかったから考え方を変えた』著:田村裕/KADOKAWA より抜粋・再編集して作成しました。
配信: マイナビ子育て
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