私立の中学校に通いだした娘が、秋になると玄関で「おなかが痛い」と泣き出し、やがて不登校に。「どうして学校に行けないんだろう」と親として憤りを感じていたけれど、娘はやがて自らの髪を抜いてしまうように……。ママとパパが率直な想いを語るインタビュー。長女の不登校に向き合い、変わっていった家族の物語<後編>です。
東京都に住む飯田博司さん、美紀さん夫婦(ともに仮名)には、高校3年生の長女、中学3年生の長男、小学3年生の次男、と3人の子どもがいます。
<前編>では、長女が中1の秋から学校を休みがちになったこと、当時の美紀さんと博司さんの率直な受け止め方について聞きました。<後編>では、家族のその後をお届けします。
●取材に答えてくれたパパとママ
飯田博司さん(仮名/48歳/会社員)、美紀さん(仮名/47歳/パート)
●家族
高校3年生の長女、中学3年生の長男、小学3年生の次男
登校したいのにできない。高1の冬、娘の決意
※画像はイメージです
――中1の秋ごろから不登校がはじまった長女さんは、コロナ禍を経て、中2のときに再び登校できるようになり、お休みや保健室も利用しつつ、通学していたというお話でした。その後、どんなふうに登校していたのでしょうか。
美紀さん 中3になってからも休んだり遅刻したりしながら登校していましたが、クラスでお弁当を食べられなくなり、保健室でおにぎりを食べるような状況が続きました。中3の冬は娘の体調がとても悪化してしまって不眠症状もあったので、心療内科を受診して薬を処方してもらったこともありました。そのころから、学校のスクールカウンセラーの先生と月に1回ほど面談をするようになりました。保健室の先生にもとてもよくしてもらって、たくさん話を聞いてもらっていたようです。
娘は休んだり遅刻したりしながらもできるだけ登校するように頑張っていました。ずっと休み続けて勉強が遅れると、もっとストレスになってしまうと思っていたようで、授業に遅れないよう、家でも勉強していました。ですが、高1の冬ごろから体調が悪化し、通信制の高校への転校を考え始めました。
――転校を考えたきっかけは?
美紀さん その学校はほとんどの生徒が大学進学するところだったので、高校2年生になれば受験勉強が始まります。娘は学校に行くことも大変だったし、そのころから過敏性腸症候群の症状が頻繁に出るようになっていました。
そんなとき、たまたま幼稚園のころからのママ友のお子さんが通信制高校に転校したという話を聞きました。娘に伝えたら「このままこの学校で勉強できる気がしないから、私も通信を考えてみようかな」と。
それで、いくつかの学校の資料を取り寄せて3〜4校の見学に行き、娘が興味のある学校があったので転校することに決めました。今思うと、不登校中でも家での学習を止めなかったことが、通信制への転入、そして大学進学を目指すという前向きな行動につながったのかもしれません
通信制高校へ転校し、大学進学を目指す
現在の長女さんの部屋の様子。好きだった推し活はいったん封印し、大学進学を目指して勉強中(提供写真)
――転校した高校での状況はいかがですか?
美紀さん 今の通信制の高校は、自宅で課題やレポートに取り組んで、月に1回通学する形です。娘は大学進学を希望しているので、オンライン学習ができる塾にも通っています。
通信制高校に入ってすぐのころは友だちがいなかったんですが、秋の文化祭に参加してみたら気の合う友だちができたようです。その子たちと一緒に学校主催のイベントに参加したらさらに絆が深まったようです。毎月1回の登校日は友だちと約束をして、楽しく過ごしているようです。明日(取材日翌日)も学校があるんですが、友だちとランチしてから行く、と楽しみにしています。
前の学校にいたときは、毎年秋から冬になると体調が悪化して、髪を抜くことも続いていたんですが、転校してからは髪を抜くことはすっかりなくなりました。
配信: マイナビ子育て