親がよく使う「みんなと仲良く」や「嘘をついてはいけない」という言葉たち。無意識に子どもに「きれいごと」を押し付けてはいませんか……?
テレビでおなじみ、犯罪心理学者の出口保行先生が、親の「危ない声かけ」「よりよい子育て」を漫画で解説。
1万人の非行少年・犯罪者と面接・心理分析してきた犯罪心理学者の出口先生の著書『マンガ 犯罪心理学者が教える子どもを呪う言葉・救う言葉』(SBクリエイティブ)では、親がよかれと思ってかける言葉の危険性を事例とともに漫画でわかりやすく解説しています。
前回に続き、第1章「みんなと仲良く」が個性を破壊するより、出口先生の解説をお届けします。
書籍『マンガ 犯罪心理学者が教える子どもを呪う言葉・救う言葉』
「みんなと仲良く」が個性を破壊する(2)
「嘘をついてはいけない」の嘘
「みんなと仲良く」のようなきれいごとを押しつけると、必ず問題が出てきます。実際にはできないので、ギャップに苦しむからです。子どもは「みんなと仲良くできない自分はダメだ」と思ってしまいます。「みんなと仲良く」と言っている大人ができていないのだから、不信感にもつながるでしょう。
「嘘をついてはいけない」もそうです。詐欺のように人を騙して不当に利益を得たり、嘘をついて相手を傷つけたりするようなことはしてはいけません。しかし、誰しも小さな嘘ならついたことがあるはずです。「私は嘘をついたことがない」なんて言ったら、それこそ大嘘ではないでしょうか。
人を傷つけないためにつく嘘もあります。自分を守るためにつく嘘もあります。嘘は全部ダメだと言ってしまえば、実際に嘘をついてしまったときに困ることになります。一度ついた嘘を訂正することができず、嘘を重ねなければなりません。
「嘘をついてはいけない」とだけ教えられた子は、遅かれ早かれ苦しむことになるでしょう。「あれは嘘でした、ごめんなさい」と言えることが大事です。間違ったら修正すればいいのです。誰しも間違うことはあるのだし、間違ったからといって人格的な価値が下がるわけではありません。
嘘を告白し、訂正するのには勇気がいります。もし子どもが「嘘でした、ごめんなさい」と言えたらその勇気を褒めていいと思います。
また、大人が嘘をついたとき、適当にごまかせば不信感につながります。「こういう理由で嘘をついてしまいました。ごめんなさい」と伝えたほうがいいのです。
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配信: マイナビ子育て
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