「胆管炎」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

「胆管炎」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

胆管炎の前兆や初期症状について

急性胆管炎の場合の典型的な症状は①発熱②黄疸 (※)③右上腹部痛 (※) とされています。発熱と腹痛は約 80% の患者で、黄疸は 60~70% の患者でみられるといわれています (参考文献 1) 。
重症の胆管炎になると上の3つの症状に加えて意識障害やショック (血圧が下がり身体に十分な血流や酸素が供給されなくなること) が症状として現れることがあります。

胆管炎は命にかかわる重症感染症です。2017年の日本と台湾の急性胆管炎患者を対象とした報告 (参考文献 2) では、急性胆管炎全体の死亡率は 2.7% 、つまり40人に1人は命を落としていたことが分かりました。発熱だけではなく黄疸や右上腹部 (※) の痛みが現れれば、すぐに近くの内科を受診してください。

※「黄疸」でイメージされるのは皮膚が黄色くなる症状かと思いますが、白目が黄色くなることや、皮膚のかゆみが先行する場合もあります。
※右上腹部は胆管の走る場所です。 右の肋骨の下の縁を触ってみて、その奥が痛ければ右上腹部痛と考えてもらって問題ありません。

胆管炎の検査・診断

胆管炎は、症状に加えて血液検査や画像検査の結果を総合的に考えて診断、重症度評価がされます。
血液検査では白血球数や CRP とよばれる炎症マーカー、AST や ALT、γ-GTP、ALP などの肝臓のマーカー、黄疸の原因となるビリルビンの値を測定をします (参考文献 1) 。
画像診断ではエコーや CT で胆道が詰まっていないかを確認したり、MRCP とよばれる胆汁の流れ道を詳しく調べるタイプの MRI で胆道の状態を視覚的に評価します (参考文献 1) 。
重症度の判定をすることで患者の状態がどれほど危機的かを評価することができ、適切な治療をしたり治療効果を追うことに役立ちます。紙面の都合上、ここでは詳しい基準を説明することはしませんが、胆管炎に加えて、次のような異常が見られた場合には重症と判定されます (参考文献 1) 。

昇圧薬を使わなければいけないほどの循環動態の異常

意識障害

呼吸機能障害

腎機能障害

肝機能障害

血液凝固異常

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