胆管炎の治療
胆管炎の治療方法は抗菌薬によるものと、胆汁の詰まりを解除するドレナージの2つが中心になります。
胆管炎は胆管で菌が増殖し、血流やリンパ液に細菌が逆流することによる感染症ですから、抗菌薬による治療が大切です。急性胆管炎の診断後6時間以内、敗血症性ショックを併発している患者には1時間以内に抗菌薬治療を開始することが推奨されています (参考文献 1) 。
胆道が詰まっていると菌が増殖した胆管で胆汁の流れが滞り、細菌で汚染された胆汁が身体の中にどんどん溜まっていってしまいます。その閉塞を解除して胆汁を外に出してあげる処置を胆道ドレナージとよび、感染源のコントロールに重要です (参考文献 1) 。
治療法が発展する前は急性胆管炎の致死率は非常に高かったことが知られており、1980年以前は半数以上の患者が亡くなっていました (参考文献 1) 。最近の大規模な調査でも重症の急性胆管炎患者を30日間追跡すると 8.4% の患者が死亡していたことが分かっています (参考文献 3) 。 適切な治療を早い段階で受けることが非常に重要なので、急性胆管炎を疑うような症状がある場合は「すぐに」近くの病院へ行ってください。
胆管炎になりやすい人・予防の方法
急性胆管炎の原因は胆石、先天性・炎症性の胆道狭窄、悪性腫瘍 (胆道系、十二指腸、膵臓など)が知られているほか、ERCP という内視鏡を使った胆道造影を行うことも急性胆管炎リスクとされています (参考文献 4) 。
胆石は 40歳代、女性、肥満、出産人数が多いこと、白人であることが発症リスクとされているため (参考文献 1) 、これらに当てはまる人は胆石症が契機となる急性胆管炎を発症するリスクが比較的高いといえるでしょう。また、胆石症の症状である食後の腹痛を放置せずに病院へ行くことは急性胆管炎発症の予防となる可能性があります。
これまで説明してきたように急性胆管炎は命にかかわる重大な疾患です。何か気になる症状があれば病院へいって早期発見・早期治療による「重症化予防」をしましょう。
参考文献
1.急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン改訂出版委員会. -TG18新基準掲載-急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン2018. 医学図書出版. 2018-09-10
2.Kiriyama S et al. Clinical application and verification of the TG13 diagnostic and severity grading criteria for acute cholangitis: an international multicenter observational study. J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2017 Jun;24(6):329-337.
3.Gomi H et al. Updated comprehensive epidemiology, microbiology, and outcomes among patients with acute cholangitis. J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2017 Jun;24(6):310-318.
4.Kimura Y et al. Definitions, pathophysiology, and epidemiology of acute cholangitis and cholecystitis: Tokyo Guidelines. J Hepatobiliary Pancreat Surg. 2007;14(1):15-26.
配信: Medical DOC
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