妻と離婚したい|離婚に必要な手続きとポイント

妻と離婚したい|離婚に必要な手続きとポイント

5、浪費癖のある妻と離婚する方法

妻に浪費癖がある場合には、離婚を切り出す前に確認しておくべきことがいくつかあります。

(1)自分にも借金の返済義務がないかを確認する

妻が浪費をして借金を抱えている場合、夫婦といえども別人格なので、原則として妻名義の借金について夫が返済義務を負うことはありません。

しかし、夫が保証人になっていたり、妻に名義を貸して作った借金については夫にも返済義務があります。

まずは、このような借金がないかを確認しましょう。

妻が勝手に作った借金であっても、生活費のために借りたものであれば日常家事債務(民法第761条)として夫も返済義務を負う可能性があります。

それに対して、夫婦の収入や財産状況に応じた生活レベルを明らかに超えるような浪費によって作った借金については、日常家事債務にはあたらないので、夫に返済義務はありません。

したがって、妻の借金額を正確に調べるとともに、妻がどのようなことにどのくらいのお金を使ったのかを確認することが大切です。

(2)法定離婚事由にあたらない場合は離婚協議で決着をつける

妻に浪費癖があっても、それだけでは法定離婚事由にはあたりません。

借金をして不倫・浮気相手に貢いでいるような場合には不貞行為を理由に離婚できます。

しかし、単に「妻の金遣いが荒い」「妻が浪費で借金を作っている」だけで他に特に問題がない場合には、法定離婚事由に該当する可能性は低いのです。

法定離婚事由に該当しない場合は、性格の不一致の場合と同じように、離婚協議で決着をつけるのが得策です。

妻に対して、お金に関する価値観が大きく異なるために、このままではお互いに幸せになれないことを丁寧に説明し、理解を求めるのがよいでしょう。

なお、妻の浪費を理由とする場合でも、別居が長期間続いていて夫婦関係の破たんが認められるケースでは、「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」があるものとして、裁判で離婚できる可能性があります。

(3)財産分与や親権については要注意

離婚の条件として妻から財産分与を求められた場合は、分与対象財産があるのであれば、離婚原因にかかわらず応じる必要があります。

財産分与をする場合は、基本的に離婚時(別居が先行する場合は別居開始時)の夫婦共有財産を2分の1ずつに分け合います。

しかし、妻の浪費によって夫婦共有財産が減少したことを証明できる場合は、財産分与における妻の取得分を少なくすることができることもあるでしょう。

もっとも、相手が離婚に難色を示している場合に離婚協議で決着をつけるためには、手切れ金のような意味合いで通常どおりの財産分与に応じることも検討に値します。

また、子どもの親権についても、基本的に離婚原因にはかかわらず、どちらが子育てをするのが子どもにとって望ましいかという観点から判断されます。通常は妻の方が圧倒的に有利です。

夫が親権を獲得するには、浪費癖のある妻が家事・育児を放棄しているなど、妻が親権者としてふさわしくない事情を調停で主張する必要があるでしょう。

6、セックスレスで妻と離婚する方法

セックスレスも拒まれる側にとっては重大な問題であり、程度によっては「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」(民法第770条1項5号)として法定離婚事由にあたります。

セックスレスで妻と離婚するには以下の点に注意が必要です。

(1)法定離婚事由にあたるかを検討する

セックスレスとは、日本性科学会の定義では、「病気など特別な事情がないのに、1か月以上性交渉がない」こととされています。

もっとも、1~2か月のセックスレスでは法定離婚事由には該当しません。

実際にも、離婚したいと思うほど悩んでいる方は、相当長期間のセックスレスで苦しんでいることでしょう。

セックスレスが法定離婚事由にあたるかどうかはケースバイケースですが、以下の3つの条件を満たす場合は該当する可能性が高くなります。

夫婦の双方が病気などセックスに対する支障がないこと
夫婦の一方が誘ったにもかかわらず他方が拒絶したこと
拒絶状態が5~10年程度続いていること

セックスレスが1~2年続いていても、裁判ではまだ夫婦関係が完全には破綻していないと判断され、離婚が認められない可能性が高いです。

(2)法定離婚事由にあたる場合は証拠を確保する

法定離婚事由にあたる場合は、離婚協議で合意できなくても裁判で離婚することが可能です。

ただし、裁判で離婚するためには証拠が不可欠です。

セックスレスの事実を証明する証拠としては、日記が最も有効です。

妻に性交渉を拒まれて過ごす日々を、継続的に日記に綴っていくのです。

単に「今日も性交渉がなかった」と書くだけではなく、妻に対してどのように誘いかけて、妻からどのように拒絶されたのかを具体的に書いておくことが大切です。

また、セックスレスの事実を証明できる場合には慰謝料の請求も可能です。

日記の中に、性交渉を拒まれて自分がどのような気持ちになったのかを克明に記しておくと、高額の慰謝料請求が可能となることもあります。

(3)法定離婚事由にあたらない場合は離婚協議で決着をつける

セックスレスが事実であっても期間が短い場合など法定離婚事由にまでは該当しないときには、性格の不一致の場合と同じように、離婚協議で決着をつける必要があります。

セックスを拒否する側は、拒否される側の苦悩を理解していないことが多いです。

そのため、妻から性交渉を拒絶されてどれほど傷ついているのか、仕事のやる気が削がれているのか、生きる気力が失われているのかを分かりやすく説明しましょう。

そして、今後も応じる気がないのなら、お互いの幸せのために別れてほしいことを伝えることです。

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