「離婚調停をすることになったけど、事前に弁護士に相談する必要あるのかな?」
このような不安を抱えている方も多いことでしょう。
離婚調停は、夫婦間の協議で解決できない場合に、調停委員という中立公平な第三者を交えて話し合い、合意による解決を目指す手続きです。
そのため、専門的な法律知識がない人でも本人で進めることは可能です。
とはいえ、家庭裁判所という場で法律を踏まえた話し合いが行われますので、一人で離婚調停を進めることに不安を感じる方が多いのも当然のことです。
まして、相手方に弁護士がついた場合には、その不安はさらに大きなものとなることでしょう。
そこで今回は、
自分で離婚調停をする場合にやりがちな失敗
離婚調停を弁護士に依頼するメリット
離婚調停に強い弁護士の選び方
などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が詳しく解説していきます。
その他にも、離婚調停の弁護士費用を抑える方法や、弁護士の無料相談を最大限に活用する方法などもお伝えします。
この記事が、離婚調停を弁護士に依頼するどうかで迷われている方や、弁護士費用の問題、どのような弁護士を選べばよいのかでお悩みの方の手助けとなれば幸いです。
また、離婚調停全般については以下の記事もご覧ください。
また、主に親権の話ですが、離婚調停に関するYouTubeもありますので併せてご参照ください。
1、離婚調停を弁護士なしで申し立てた場合にやりがちな失敗とは?
離婚調停とは、ざっくりいえば、調停委員を挟んだ夫婦の主張戦。
ゴールは「自分の主張が通る」ことです。
つまり、失敗とは、自分の主張が通らない、もしくは通りづらくなることと言えるでしょう。
本項では、弁護士をつけずにお一人で調停に挑んだ場合に失敗に至る可能性の高い行動を、厳選してご紹介していきます。
(1)主張に一貫性がない
「相手は子供ばかりを見て自分を愛してくれないから離婚したい」と主張したかと思えば、「相手は子供の相手をしないので、自分が親権者になるべきだ」と言い出したり、主張に一貫性がないと、何を言いたいのか、調停委員は困惑します。
そうなってしまえば、調停委員はあなたの主張が合理的だとは考えませんから、自分の主張が通るというゴールの達成は難しくなってくるでしょう。
このような失敗をしないためには、
離婚をしたいのか、したくないのか
離婚をする場合、財産分与をどうしたいのか(何を譲れないのか)
相手に慰謝料を請求するのか、請求するとすればいくらが妥当と考えるのか
年金分割をどうしたいのか(分割しても良いのか、拒否するならその理由)
子どもがいるなら、親権、養育費、面会の頻度をどうしたいのか
などについて、しっかりと明確な意見を持つとともに、それぞれの主張にどのような根拠があるのかについても矛盾がないように検討しておきましょう。
(2)主張を裏づける証拠がない
相手の有責性を原因として離婚したい場合、その証拠がなければいけません。
証拠による裏づけがなければ有責性が認められず、相手が離婚を拒否しているならば離婚の主張が認められない可能性もあります。
ここで「有責性」とは、
不倫、浮気
DV
生活費を入れない
借金が多い
家に帰ってこない
などです。
その「証拠」とは、まず、物的な証拠を集めましょう。
物的証拠とは、録音、録画、直筆の手紙、メールやラインなどでのやり取りなど、それ自体で多くの人が「その事柄があった可能性が高い」と判断するようなものをイメージしてください。
また、それを補強する証拠として、人的証拠もあります。
人的証拠とは「証言」です。そのような現場を直接見た、聞いたという証言も証拠となります。
ただし、人的証拠の場合、配偶者よりもあなたの味方であることが明白な人物、たとえばあなたの親、あなたの友人などの場合は注意が必要です。
このような方達はあなたのために嘘をつく可能性もあると一般的に考えられますので、鋭い反問にも的確に答えられなければ、証言の真実性が疑われてしまいます。
反問にも的確に対応できるような、第三者的な関係にある方を証人とすると良いでしょう。
これらに加え、あなたが実際に感じたこと、実際の出来事など、あなたの言葉で準備することが大切です。
このように、証拠は総合的に準備しておく必要があります。1つの証拠に頼って論理的な抜けを作ってしまうと、主張が通らないことにつながりますので注意が必要です。
(3)相場を知らずに無謀な主張をする
法的な争いの場面でどのような主張をするのも自由ではありますが、離婚調停ではその主張をもとに話し合い、相手との合意を目指さなければなりません。
相場を知らずに無謀な主張をすると相手も対抗的な姿勢を強めてしまい、話し合いが進まない可能性が高くなります。
調停委員としても、無謀な主張をする人の言い分を真に受けるものではありません。
例えば、相手の不倫を原因として離婚慰謝料を請求する場合、相場は数十万円~500万円と言われています。
離婚調停が成立する場合、この幅の中でも100万円~300万円程度がボリュームゾーンとなっています。
離婚調停で問題を解決するためには、このような相場も意識して妥当な主張をすることも大切です。
(4)不利な離婚条件を押しつけられ、反論できない
調停委員は中立公平な立場ですが、当事者間の合意を図って問題を解決する役割を果たしています。
そのため、当事者の一方の言い分がもっともであると判断すれば、もう一方の当事者を説得してきます。
こちらが曖昧な主張に終始しているのに対して、相手がもっともらしい主張を説得的に述べたような場合には、調停委員から不利な離婚条件を押しつけられてしまうこともあります。
そんなとき、説得を押し返すためには筋の通った反論をする必要がありますが、専門的な法律知識がなければ反論できず、押し切られてしまうおそれもあります。
(5)信頼がおけない印象を与え、調停委員が困惑する
離婚調停で有利な結果が得られるかどうかは、法律知識の有無だけで決まるものではありません。
当事者に法律知識が乏しい場合には、調停委員がアドバイスしつつ話し合いを進めてくれるからです。
とはいえ、調停委員が夫婦の仲介の役割を果たすからこそ、調停委員に対してどのような印象を与えるかが大変重要となってきます。
言い方はよくないかもしれませんが、「調停委員に真摯さを伝えて味方につけること」がポイントとなってきます。
調停委員からの信頼が得られなければ、主張が通らないことにつながります。
以下、調停委員の信頼を掴む3つのポイントをお伝えしていきましょう。
①身だしなみ
「こういう服装でなければダメ」
「こういう髪型でなければダメ」
ということは決してありません。
しかし、人間とは単純なもので、第一印象で8割の印象をもってしまうのです。
調停委員もその例外ではありません。
そのため、服装、髪型、アクセサリーなど、見た目を左右する身だしなみについて、信頼を意識したものにされることをお勧めします。
②言葉遣い
身だしなみ同様、言葉遣いも適切であると良いでしょう。
友達同士のような言葉遣いや、乱暴な言葉遣いで調停に臨むことは、不利と言わないまでも有利になることは決してありません。
③態度
離婚という局面にいる今、イライラしない人はいないでしょう。
態度にも出てしまうのも当然です。
しかし、相手方や調停委員に対し、感情的な態度をとることは好ましくありません。
自らの主張が通るべきことを信じて、冷静に対応していきましょう。
2、離婚調停で失敗しないために!弁護士に依頼するメリットは?
離婚調停を有利に進めるためには、抜かりのない証拠を準備し、慣れない調停でイライラする気持ちを抑えて相手からの主張や反論にも一貫した主張を繰り広げていくことが必要ということがお分かりいただけたでしょうか。
言うは易しですが、実際にこれが何ヶ月も続くとなったら、一人で戦える人はどれくらいいるものなのか、疑問です。
離婚調停で失敗しないためには、一人で抱え込まず、弁護士を利用されることをお勧めします。
弁護士という味方をつければ、以下のメリットを得ることができます。
(1)法的観点から効果的な主張をしてもらえる
あなたが主張したいことは、調停で述べる前にすべて弁護士に話しましょう。
弁護士はあなたの話をじっくりと聞いた上で、法的に有効な形に主張を組み立てて調停に提出してくれます。
あなたの感情的な問題についても、弁護士が「精神的損害を裏づける事実」の形に整理して、慰謝料請求につなげてくれます。
法的観点から首尾一貫した主張をすることが可能となりますので、調停委員の理解も得られやすくなります。
(2)証拠の収集もサポートしてもらえる
主張を裏づける証拠が必要だとはいっても、具体的にどのような証拠が必要なのか分かりにくいことも多いでしょう。
分かったとしても、自力で証拠を集めるのは難しいこともよくあります。
離婚に詳しい弁護士なら、調停でどのような証拠が有力となるのかを知っています。
また、証拠の集め方についてアドバイスしてくれるだけでなく、弁護士が「調査嘱託」や「弁護士会照会」といった制度を利用して証拠を収集することが可能な場合もあるでしょう。
必要に応じて、優良な探偵事務所を紹介してもらえることもあります。
お一人で考えて準備するより、百人力と考えて良いでしょう。
(3)書類作成・準備の手間が省ける
離婚調停をするにあたっては、離婚調停の申立書や、進行に関する照会回答書、および事情説明書等の作成が必要となります。
これらの書類は、一般の方でも作成できるように裁判所で雛形が用意されていますが、それでも調停を有利に進めるためには記載方法にポイントがあります。
弁護士に依頼すればこれらの書類の作成はすべて任せられますし、法的主張を盛り込んだ、充実した内容の書類を提出してもらうことができます。
なお、離婚調停の申し立てに必要な書類とその作成方法ついて詳しくは、「離婚調停の申し立て方法|調停を有利に進めるための10個のポイント」で説明していますので、ご興味があればこちらをご覧下さい。
(4)調停委員に本気、真摯さをアピールできる
離婚調停を有利に進める上で、調停委員に与える印象は重要となります。
調停に弁護士とともに参加することで、「この人は本気なんだ」と調停委員に印象付けることができます。
これにより、調停で有利な結果を獲得することができる可能性があります。
(5)精神的な支えにもなる
離婚調停には、弁護士も同席させることができます。
そのため、あなたを一人にはさせません。常に一緒です。
代理人として弁護士が話を進めるもよし、隣にいてサポートしてもらうもよし。
あなたと気の合う弁護士を探し、精神的な支えになってもらうと、より自信をもって主張をしていかれることは間違いありません。
(6)調停が不成立となった後の手続きも有利に進めることができる
調停が不調になった場合、離婚に関しては裁判に、それ以外の婚姻費用や面会交流等については自動的に審判に移行します。
審判に移行した場合、裁判官は調停での経緯や提出された資料に基づいて判断を下すことになります。
ですので、調停が話し合いの手続きだからといって適当な姿勢で臨むのではなく、裁判と同じように万全の態勢で臨み、主張や証拠をしっかり提出しておくべきだといえます。
その際には、弁護士が全面的にサポートしてくれます。
配信: LEGAL MALL