5、実際に借金を減額する方法
次に、実際に借金を減額するための具体的な方法をご説明します。
いま抱えている借金を減額するために合法的に利用できる方法として、以下の5つの手続きがあります。
(1)過払い金返還請求
過払い金返還請求とは、払いすぎた利息を元本に充当した結果、借り入れた元本と正当な利息の合計額を超えるお金を払っていたことが判明した場合に、超過額の返還を請求できる手続きのことです。
利息引き直し計算を行った結果、過払い金が発生している場合には、いま抱えている借金はすべてなくなり、その上に払いすぎたお金を取り戻すことができます。
ただし、過払い金返還請求には10年という時効があることに注意が必要です。借金を完済してから10年以上が経過していれば、過払い金を取り戻すことはできませんので、途中で一度完済したことがある方はご注意ください。
また、過払い金が発生していない場合でも、前記「4(1)」でご説明したグレーゾーン金利で取引をしたことがある場合には、利息の払いすぎが発生していますから元本を減らすことができます。
過払い金返還請求については、以下の記事で詳しく説明していますので、ぜひ参考になさってください。
(2)任意整理
任意整理とは、裁判所を介さずに借入先の貸金業者と交渉することによって、借金の返済額や支払い方法を取り決め直す手続きのことです。
任意整理をする場合も、まずは貸金業者から取引履歴を取り寄せて利息引き直し計算を行います。
その際、払いすぎた利息がある場合は順次、元本に充当していきます。そうすることによって、借金が減額されます。
ただし、払いすぎた利息を元本に充当しても過払い金が発生せず、元本が残る場合はブラックリストに登録されるというデメリットがあることに注意が必要です。
払いすぎた利息がない場合は、原則として将来の利息をカットできるだけであり、元本をカットすることはできません。
しかし、利息をカットする分だけ返済額が減額され、返済期間の延長も可能になるので、毎月の返済額を減らすことはできます。
任意整理は債務整理方法の中で最も手軽に実行できるものであり、弁護士に依頼した場合の費用も比較的安いことが多いです。周囲の人にバレずに借金を減額できるというメリットもあります。
任意整理について詳しくは、以下の記事を併せてご参照ください。
(3)特定調停
特定調停とは、簡易裁判所の調停手続きを利用して、借入先の貸金業者と返済額や返済方法について交渉する債務整理方法のことです。
借金を減額する仕組みや効果は任意整理とほぼ同じですが、専門知識を持った調停委員が間に入ってくれるため、弁護士に依頼しなくても利用しやすいというメリットがあります。
そのため、弁護士費用をかけずに借金を減額したいという方におすすめの方法といえます。
一方で、任意整理の場合と同様にブラックリストに登録されるというデメリットがあります。
任意整理について詳しくは、以下の記事を併せてご参照ください。
(4)個人再生
個人再生とは、裁判所を介して借金を大幅に減額できる手続きのことです。裁判所の認可が得られれば、以下のように大幅な借金の減額が可能となります。
借金総額
最小返済額
100万円~500万円
100万円
500万円~1,500万円
借金総額の5分の1
1,500万円~3,000万円
300万円
3,000万円~5,000万円
借金総額の10分の1
個人再生は、これだけ借金減額の効果が大きいにもかかわらず、基本的には財産を処分する必要もなく、職業制限もないので、非常にメリットの大きい債務整理方法といえます。
一定の要件を満たせば、住宅資金特別条項を利用することによってマイホームを残すことも可能です。
一方で、ブラックリストに登録されることと、官報に氏名や住所が掲載されるというデメリットがあります。また、保証人がいる借金がある場合には、保証人に迷惑がかかってしまいます。
個人再生について詳しくは、以下の記事を併せてご参照ください。
(5)自己破産
自己破産とは、裁判所を介してすべての借金の返済義務を免除してもらう手続きのことです。裁判所の免責許可が得られれば、多額の借金もゼロになります。
ただし、ギャンブルやその他の浪費のために借金をしていたり、特定の借入先にのみ優先的に返済しているなどの「免責不許可事由」がある場合には、返済義務は免除されないこともあります。
その場合には、他のいずれかの債務整理方法を検討する必要があります。
また、ブラックリストに登録されることと、官報に掲載されること、保証人に迷惑がかかる可能性があるというデメリットは個人再生と同じです。
さらに、自己破産では高価な財産は処分する必要があるので、マイホームを残すことはできません。車も処分される可能性があります。
ただ、ある程度の財産(99万円までの現金など)は手元に残すことができるので、自己破産をしても生活に支障をきたすことはないはずです。
自己破産について詳しくは、以下の記事を併せてご参照ください。
6、借金の減額が可能か弁護士に相談してみよう
借金の減額が可能か気になる方は、まず借金減額診断シミュレーターを試してみるのも良いでしょう。大まかな見通しはわかるはずです。
しかし、前述のように借金減額診断シミュレーターではごく大まかな診断しかできませんので、続けて弁護士に相談し、アドバイスを受けることが大切です。
正確な借金減額診断を受けるためには、どうしても利息引き直し計算を行う必要があります。また、診断結果が同じでも、あなたの状況によって最適な解決方法は異なります。
前項でご紹介した債務整理方法には、それぞれ異なる特徴があります。そのため、借金問題を解決するためには、あなたに合った方法を選ぶことが非常に大切です。
借金問題に詳しい弁護士に相談すれば、あなたから事情を聴いた上で、最適な解決方法を提案してくれるはずです。
まずは無料相談を利用してみてはいかがでしょうか。
配信: LEGAL MALL