女性がくも膜下出血を発症する原因とは?Medical DOC監修医が、女性がくも膜下出血を発症する原因・前兆となる初期症状・なりやすい人の特徴・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。
≫「くも膜下出血の予防法」はご存知ですか?発症のリスクを上げやすい食べ物も解説!
※この記事はMedical DOCにて『「女性がくも膜下出血を発症する原因」はご存知ですか?前兆となる初期症状も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
村上 友太(東京予防クリニック)
医師、医学博士。福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学講座助教として基礎・臨床研究、教育、臨床業務に従事した経験がある。現在、東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医。日本認知症学会、日本内科学会などの各会員。
「くも膜下出血」とは?
突然の強い頭痛はあぶないと聞いたことはありませんか?
そのあぶない頭痛の代表がこのくも膜下出血です。
頭蓋骨と脳の間には硬膜、くも膜、軟膜と3層の膜があり、くも膜下出血とはくも膜と軟膜の間の空間(くも膜下腔)に出血することで発症する病気です。突然の激しい頭痛や嘔気・嘔吐、意識障害で発症し、3人に1人は死亡、3人に1人は重度の後遺症を残すとされています。禁煙や高血圧に対しての意識が高まったことなどにより、発症率が徐々に低下し、発症年齢も高くなっていますが、脳卒中の中では50代~60代と比較的若い年齢で発症し、男性に比べて女性、特に閉経後の女性で発症しやすいため、注意が必要です。
この記事では、くも膜下出血の原因やどのような注意が必要かなどについて解説いたします。
女性がくも膜下出血を発症する主な原因
くも膜下出血には、転倒や交通事故などの外傷によるもの(外傷性)と外傷によらないもの(非外傷性)があります。非外傷性の原因のほとんど(80~90%)は脳動脈瘤の破裂であり、そのほかには脳動静脈奇形なども考えられます。
脳動脈瘤
非外傷性のくも膜下出血のほとんどは、脳動脈瘤と呼ばれる脳の動脈の膨らみが破れることで発症します。脳動脈瘤がなぜできるのかはわかっていませんが、血管の壁が弱い部分(血管の分岐部など)に発症しやすいとされています。脳動脈瘤は女性、特に閉経後に多く、最近の研究ではエストロゲンの欠乏が脳動脈瘤の発症に関与しているとの報告もあります。また、遺伝的な要素もあり、親族に脳動脈瘤の方がいる場合には、脳動脈瘤を発症するリスクが高くなるため注意が必要です。破裂前の動脈瘤は無症状であることも多いため、脳ドックなどで脳動脈瘤の有無を確認するとよいでしょう。
転倒や交通事故
転倒や転落、交通事故などで頭部を強打した場合でもくも膜下出血を発症することがあります。頭部外傷ではくも膜下出血だけでなく、脳震盪や脳挫傷、硬膜下血腫、軸索損傷などを起こすことがあるため、頭部打撲後に意識状態が悪い、様子がおかしい、強い頭痛や吐き気がある、めまいがするなど何か症状がある場合には脳神経外科や救急外来を受診し、頭部CTなどの評価を受けるとよいでしょう。
脳動静脈奇形
脳動静脈奇形とは、脳血管の動脈と静脈が毛細血管を介さずに異常な吻合をつくる先天性疾患で、とぐろを巻くような異常な血管の塊(ナイダス)がみられます。ナイダスは正常な血管に比べて壁が薄く、破れることで脳出血やくも膜下出血を発症します。胎児の時期に生じる先天性異常ですが、一般には症状はなく、成人後に頭蓋内出血やてんかんなどが生じて初めて発見されることも少なくありません。無症状であってもMRIなどの画像検査で診断は可能であるため、頭部の画像検査を受けたことがない場合には脳ドックなどで画像検査を行うとよいでしょう。
配信: Medical DOC