「高プロラクチン血症」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

「高プロラクチン血症」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

監修医師:
佐伯 信一朗(医師)

兵庫医科大学卒業。兵庫医科大学病院産婦人科、兵庫医科大学ささやま医療センター、千船病院などで研鑽を積む。兵庫医科大学病院産婦人科外来医長などを経て2024年3月より英ウィメンズクリニックに勤務。医学博士。日本産科婦人科学会専門医、日本医師会健康スポーツ医、母体保護法指定医。

高プロラクチン血症の概要

高プロラクチン血症は、血液中のプロラクチンホルモンの濃度が異常に高くなる状態を指します。
プロラクチンは主に下垂体前葉で産生されるホルモンで、乳腺の発達、乳汁分泌、黄体機能の調節など多彩な生理作用を持ちます。また、子宮筋層、黄体期後期の子宮内膜、妊娠中の脱落膜からも産生されます。
この状態は、女性では性欲減退、不妊症、月経不順または無月経を、男性では勃起不全や性腺機能低下症などの症状を引き起こします。また、長期的には骨量減少のリスクも高まります。高プロラクチン血症の平均有病率は、男性で10万人当たり約10人、女性で10万人当たり約30人と推定されており、女性の方が3倍ほど多く発症します。特に25〜34歳の女性で最も発症率が高いとされています。
高プロラクチン血症は適切な診断と治療により、多くの場合で良好にコントロールすることができます。治療には、定期的な検査や薬物療法の遵守、症状の自己観察が重要です。また、妊娠希望の場合や骨密度管理など、個々の状況に応じた対応が必要となります。症状や不安なことがあれば躊躇せず医療機関に相談し、医師と協力しながら粘り強く治療に取り組むことで、症状の改善や生活の質の向上が期待できます。

高プロラクチン血症の原因

高プロラクチン血症の原因は多岐にわたりますが、主な要因として以下が挙げられます。

下垂体腫瘍(プロラクチノーマ):
最も一般的な病理学的原因です。プロラクチンを過剰に産生する良性腫瘍で、下垂体に発生します。
薬物:
特に精神神経作用薬や抗精神病薬が高頻度で高プロラクチン血症を引き起こします。典型的な抗精神病薬を服用している患者の40〜90%に高プロラクチン血症が認められます。
視床下部-下垂体系の障害:
下垂体茎や視床下部の圧迫により、プロラクチン分泌を抑制するドーパミンの流れが阻害されることで発症します。
原発性甲状腺機能低下症:
甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)の上昇が、プロラクチンの分泌を増加させます。
マクロプロラクチン血症:
生物学的活性の低い大分子プロラクチンが増加する状態です。
その他:
妊娠、授乳、ストレス、激しい運動、腎疾患なども原因となり得ます。
腎疾患患者の約3分の1で高プロラクチン血症が発症するとされています。

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