高プロラクチン血症の前兆や初期症状について
高プロラクチン血症の前兆や初期症状は、性別によって異なる場合があります。また、症状の程度は個人差が大きく、プロラクチンの上昇の程度や原因によっても異なります。
女性の初期症状
月経不順:月経周期が乱れたり、月経量が減少したりします。
無月経:月経が完全に止まることがあります。
不妊:排卵障害により妊娠しにくくなることがあります。
乳汁漏出:妊娠や授乳をしていないのに乳房から分泌物が出ることがあります。ただし、必ずしも全ての患者に見られるわけではありません。
性欲減退:性的欲求が低下することがあります。
男性の初期症状
性欲減退:性的欲求が低下します。
勃起不全:勃起が困難になったり、持続しにくくなったりします。
女性化乳房:乳房が腫れたり、大きくなったりすることがあります。
不妊:精子の質や量に影響を与え、不妊の原因となることがあります。
共通の初期症状
倦怠感:全身のだるさを感じることがあります。
頭痛:特に腫瘍が原因の場合に見られることがあります。
視野の変化:大きな腫瘍が視神経を圧迫する場合に起こることがあります。
※注意点
マクロプロラクチン血症の場合は、プロラクチン値が高くても症状が乏しいことがあります。
これらの症状は他の疾患でも起こり得るため、症状があるからといって必ずしも高プロラクチン血症というわけではありません。
症状が気になる場合は、早めに医療機関を受診し、適切な診断を受けることが重要です。
高プロラクチン血症の検査・診断
高プロラクチン血症の診断は、主に以下のステップで行われます。
問診:
詳細な病歴聴取を行い、症状の有無、薬物使用歴、既往疾患、服薬内容などを確認します。また、採血前後の生活や心理的状況についても聴取します。
血液検査:
プロラクチン値の測定:20ng/ml(または30ng/ml、測定法により異なる)以上で高プロラクチン血症と診断します。
1週間以上空けて2〜3回測定し、高値が持続することを確認します。
甲状腺機能検査(TSH、fT3、fT4)も同時に行います。
必要に応じて、LH、FSHなどの他のホルモン検査も実施します。
画像検査:
プロラクチン値が200ng/ml以上の場合や、視床下部・下垂体の器質的疾患が疑われる場合は、MRI検査を行います。CTよりもMRIの方が下垂体腫瘍の検出率が高いとされています。
その他の検査:
マクロプロラクチンのスクリーニング:無症候性の高プロラクチン血症患者で考慮します。ポリエチレングリコール沈殿法を用いて行います。
必要に応じて視野検査を行います。
診断にあたっては、以下の点に注意が必要です。
採血時の状況(ストレス、食事、運動など)がプロラクチン値に影響を与える可能性があります。
巨大腺腫があるにもかかわらずプロラクチン値が正常または軽度上昇の場合、高用量フック効果の可能性を考慮し、検体を1:100に希釈して再測定することがあります。
稀に、プロラクチン受容体遺伝子(PRLR)の機能喪失変異による高プロラクチン血症もあり、この場合はシーケンス解析が必要となります。
配信: Medical DOC