認知機能低下の前兆や初期症状について
認知機能低下の前兆や初期症状は、日常生活で気づきにくい場合があります。
認知機能低下は「認知症」と診断される前の状況であり、日常生活を送ることができるケースもあるためです。認知機能低下の主な症状は、以下の表のとおりです。
症状
ポイント
記憶障害
生理的な老化現象による物忘れに対して、病的な物忘れが起こる(例:自分が言ったことを思い出せない、昼ご飯を食べたこと自体を忘れる)
失語(しつご)
言葉に関わる脳の部分が機能しなくなり「聞く」「読む」「話す」などの行為が正常にできなくなる
(例:固有名詞が出てこなくなり「これ」「あれ」を多用する、聞こえていても理解できなくなる)
失行(しっこう)
日常生活で普通におこなっている行動ができなくなる
(例:洋服が着られないようになる、仕事の道具を使えなくなる)
失認(しつにん)
見ている物が何か分からず、物体を認識できなくなる
(例:普段よく行くスーパーに行けなくなる、醤油を取ってとお願いされても醤油を認識できなくなる)
遂行機能障害
物事に計画的に取り組めなくなる
(例:料理ができなくなる、これまでできた仕事を進められなくなる)
できるだけ早く対処しなければ、進行が進みやすくなるため早期予防や治療が重要です。
認知機能低下の検査・診断
認知機能低下の検査・診断は、主に医療機関で行われ、認知症や軽度認知障害の早期発見を目的としています。
まず問診を行い、患者さんや家族の話をもとに生活の中での変化や症状の現れ方を確認します。特に、物忘れや時間感覚の混乱、日常的な判断力の低下が見られる場合は、認知機能低下のサインとなる場合があります。
その後「HDS-R(改訂版長谷川式簡易知能評価スケール)」や「MMSE(Mini-Mental State Examination)」などで認知機能を評価します。記憶力や注意力、言語能力、計算能力、時間や場所の認識などを評価します。
さらに、詳細な診断が必要な場合は、MRIやCTなどの画像診断を行い、脳の萎縮や血管の状態をチェックします。
また、血液検査によって甲状腺機能の異常やビタミン不足など、認知機能に影響を与える病気の有無を確認することも重要です。血液検査の結果により、適切な治療方針を立てやすくなります。
配信: Medical DOC