「腹膜偽粘液腫」を疑うべき初期症状はご存知ですか? 原因を併せて医師が解説

「腹膜偽粘液腫」を疑うべき初期症状はご存知ですか? 原因を併せて医師が解説

腹膜偽粘液腫の前兆や初期症状について

腹膜偽粘液腫の初期症状はほとんどないため、早期発見が難しい場合があります。進行すると、腹腔内に粘液が蓄積し、腹部の膨満感や不快感、虫垂炎の症状、鼠経ヘルニアなどの症状が出現します。腹部の違和感や鈍痛、食欲不振、体重減少が現れることもあります。

女性の場合、月経不順や不正出血などの婦人科系の症状が現れることもあります。進行した状態では腹部の腫瘤が発生し、腸管を圧迫して便秘や下痢、吐き気などが現れます。

腫瘤によってさらに臓器が圧迫されると、腸閉塞による栄養失調などの合併症を引き起こす危険性が高くなります。尿管の圧迫による腎機能低下、腸管や膀胱に穴が空くことによる腸漏や膀胱漏、胆管の圧迫による黄疸、胸腔転移による呼吸困難なども見られ、生命の危険にさらされる可能性があります。

腹膜偽粘液腫の検査・診断

腹膜偽粘液腫の診断は、複数の検査を組み合わせて行われます。腹部CT検査やMRI検査によって、腹腔内の粘液の蓄積や腫瘍の位置、大きさを確認します。CT検査では、ホタテ貝状変形、ケーキ様大網と呼ばれる特徴的な所見が観察できます。一方、MRI検査では腫瘤を明確に検出できます。

腫瘍マーカー検査も実施され、CEAやCA19-9などの値を検出します。CEAとCA19-9は消化器系のがんで用いられる指標で、診断の補助として使用されます。
確定診断には生検による組織診断が必要であり、腹腔鏡検査や開腹手術によって組織を採取し、病理学的検査を行います。

また、腹水の成分を調べる腹腔穿刺を実施することもあります。腹腔穿刺は、腹腔に刺したカテーテルから腹水を採取し、成分を調べる検査です。粘膜偽粘液腫では、粘性が高く吸引できない場合もあり、吸引できない場合は粘膜偽粘液腫が疑われます。
また、腹腔穿刺は胃がん、すい臓がん、大腸がん、卵巣がんなどと鑑別するためにおこなうこともあります。

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