「自己免疫性肝炎」が進行するとどうなるかご存知ですか? 疑うべき初期症状を併せて医師が解説

「自己免疫性肝炎」が進行するとどうなるかご存知ですか? 疑うべき初期症状を併せて医師が解説

自己免疫性肝炎の前兆や初期症状について

自己免疫性肝炎の症状は人によって異なりますが、初期の段階では疲れやすい、食欲が落ちる、体重が減るといった全身的な症状が現れることがあります。中には無症状の人もいて、健康診断や献血などの検査で偶然に見つかることがあります。
この病気は急激に発症する場合と、ゆっくり進行する場合があります。急激に発症した場合は、黄疸(皮膚や目が黄色くなる)、お腹に水がたまる腹水、肝臓が硬くなる肝硬変といった重い症状が出ることがありますが、こうしたケースはまれです。
無症状であっても血液検査で肝臓の働きが悪くなっていることが示されることが多く、特にアミノトランスフェラーゼという肝臓の酵素の値が上がっていることが特徴です。
また、皮膚のトラブルとして軽い発疹やかゆみが見られることがあります。時には、関節の痛みや発疹、吐き気や腹痛などの症状も出ることがあります。
さらに、自己免疫性肝炎を持つ人の中には、関節リウマチや1型糖尿病、自己免疫甲状腺炎などの他の自己免疫疾患を併発する場合もあります。

自己免疫性肝炎の検査・診断

自己免疫性肝炎の診断は、血液検査や画像検査、肝生検などを通じて行われます。診断の目的は、肝臓の炎症や損傷の程度を確認し、他の肝疾患との区別を行うことです。

血液検査

自己免疫性肝炎の診断において、血液検査は非常に重要です。肝機能を評価するために、ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)やAST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)といった肝酵素の値が測定されます。これらの値が高い場合、肝臓に炎症がある可能性が高いです。また、ガンマグロブリン(特にIgG)の上昇もAIHの特徴です。
また、自己抗体(ANA、ASMA、AAA、抗LKM-1など)の存在を確認するための血液検査も行われます。自己抗体は、自己免疫疾患の診断において重要な指標であり、これが陽性である場合、AIHの可能性が高まります。

画像検査

超音波検査やCTスキャン、MRIなどの画像検査を使用して、肝臓の状態を詳しく調べます。これにより、肝臓の腫れや形状の異常、肝硬変の有無などを確認することができます。

肝生検

肝生検は、肝臓の一部を採取して顕微鏡で詳しく調べる検査です。これは、AIHの確定診断に非常に有効です。肝生検を行うことで、肝臓の炎症の程度や線維化の進行具合を評価し、治療方針を決定します。

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