常に眠い時、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
≫「眠れないまま朝」を迎えてしまった時の対処法はご存知ですか?医師が徹底解説!
監修医師:
白井 沙良子(医師)
小児科医(日本小児科学会専門医)。慶應義塾大学医学部卒業。総合病院にて研修を修了し、現在はクリニックにて、様々な感染症やアレルギー疾患の診療、乳幼児健診、育児相談などを担当。オンライン医療相談、医療記事の執筆・監修、企業向けセミナーなども通じて「エビデンスに基づいた育児情報」を発信している。
「常に眠い」症状で考えられる病気と対処法
日中も強い眠気で、生活に支障をきたしている。眠気が強く、やる気が出ない。常に眠いと、なにかと困りますよね。単なる寝不足ではなく、病気と関連していることも。対応や、受診した方が良い目安などを解説します。
だるくて常に眠い症状で考えられる原因と治し方
日中の眠気を引き起こす病気として最も多いのは、睡眠時無呼吸症候群です。様々な原因によって気道(空気の通り道)が狭くなり、睡眠中に無呼吸の時間が長くなる病気です。肥満、扁桃や舌が大きい、顎が小さい、鼻炎などが主な原因です。
日中の眠気以外にも、いびき、夜間に頻尿で起きる、朝起きた時の頭痛などもみられます。日中の眠気のせいで仕事の効率が下がったり、居眠り運転から交通事故につながったりするなどの懸念もあります。
肥満の場合は、食生活や運動に注意をして減量することで症状が改善することもあります。また飲酒によって睡眠の質が低下し、さらに無呼吸が増加しうるので、晩酌は控えることが大切です。
さらに専門的な治療としては、重症度に応じて、経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)というマスクや、マウスピースなどを使って気道を広げる治療があります。無呼吸が続くと、高血圧、脳卒中、心筋梗塞などのリスクが高くなりますが、適切に治療を行うことでリスクを下げることができます。
日中の眠気がひどく、仕事に支障が出る場合や、家族からいびきの大きさを指摘されている場合などは、呼吸器内科や睡眠外来などを受診しましょう。
やる気が出なく常に眠い症状で考えられる原因と治し方
単に睡眠不足というだけでも日中のやる気に影響を及ぼしますが、気分障害(うつ病)では、さらに生活や仕事に支障が出るほど、やる気が出ないことがあります。他に精神疾患としては、幻聴などの症状がある場合は統合失調症の可能性も検討されます。また身体症状症といって、特に検査をしても異常が見つからないものの、体が思うように動かなかったり、体の感覚がおかしく感じられたりといった様々な異常が生じる病気もあります。これらは単にやる気がない、というよりも、病気の治療をしなければ改善が見込めないものです。日常生活に支障をきたすほどのやる気の無さであれば、内科や精神科、心療内科を受診しましょう。
男性で常に眠い症状で考えられる原因と治し方
日中の眠気やいびきの代表格である睡眠時無呼吸症候群は、女性に比べると、特に40〜50歳代の男性にやや多いと言われています。また女性に比べると、男性に多い肝硬変などから重症化して、脳の機能にも影響を及ぼす肝性脳症、眠い症状を引き起こします。
睡眠時無呼吸症候群については、肥満の場合はまずは減量ですが、経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)というマスクや、マウスピースなどを使って気道を広げる治療が必要なケースも多いです。また肝硬変や肝性脳症は、必ず治療が必要な病気です。もともと肝臓の数値や病気で指摘されている場合は特に、眠気の程度がどんどんひどくなる場合は内科、特に消化器内科の受診を検討しましょう。
女性で常に眠い症状で考えられる原因と治し方
睡眠時無呼吸症候群は一般的には男性にやや多いのですが、閉経後は女性がやや増加します。閉経に伴うホルモンバランスの変化によって、睡眠時無呼吸症候群が増加すると考えられています。
またむずむず脚症候群によって、夜間に十分な睡眠が確保できないことも、日中の眠気に影響します。むずむず脚症候群は鉄欠乏性貧血や妊娠など、鉄が不足する状況で生じやすいことから、女性が特に発症しやすい時期があります。
甲状腺機能低下症(橋本病など)でも疲れやすさや眠気が生じます。女性は、男性に比べて20〜30倍ほどかかりやすい病気です。
いずれもホルモン治療や、鉄補充、また甲状腺ホルモンを補う薬などによって、症状が改善する可能性があります。内科や婦人科の受診をおすすめします。
ストレスで常に眠い症状で考えられる原因と治し方
心理的なストレスも、身体的な症状に結びつくことは非常によくあります。気分障害(うつ病)では、さらに生活や仕事に支障が出るほど、やる気が出ないことがあります。また身体症状症といって、特に検査をしても異常が見つからないものの、体が思うように動かなかったり、体の感覚がおかしく感じられたりといった様々な異常が生じる病気も、ストレスによって引き起こされることがあります。これらは単にやる気がない、というよりも、病気の治療をしなければ改善が見込めないものです。日常生活に支障をきたすほどのやる気の無さであれば、内科や精神科、心療内科を受診しましょう。
すぐに病院へ行くべき「常に眠い」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
日常生活支障が出るほどの症状の場合は、内科、呼吸器内科、睡眠外来へ
日中の眠気がひどくなり、仕事など日常生活に支障をきたすほどであれば、受診しましょう。原因として最も多い睡眠時無呼吸症候群については、呼吸器内科のほか、睡眠外来などの専門外来がおすすめです。また睡眠というよりは、うつ病や甲状腺機能など、精神科や内分泌科などに関わる病気が原因のこともあるので、やはり症状がひどくなる、続く場合は受診しましょう。
受診・予防の目安となる「常に眠い」ときのセルフチェック法
・常に眠い以外に眠気のせいで日常生活に支障をきたすほどの症状がある場合
・常に眠い以外に気分の落ち込みややる気の無さが、日常生活に支障を及ぼすほどの場合
・常に眠い以外に特に女性で経血量が多かったりふらつきが見られたりする場合
配信: Medical DOC