不妊の治療を解説「治療の前の卵巣刺激」・「じつは自然に近い人工授精」ってなにをする?【専門家監修】

不妊の治療を解説「治療の前の卵巣刺激」・「じつは自然に近い人工授精」ってなにをする?【専門家監修】

自分たちなりに妊活をしてみたけれど、なかなか赤ちゃんを授からない。
もしかして不妊? まずは不妊治療の基本的な流れを知ることから始めましょう。

今回は「卵巣刺激」、「人工授精(AIH/IUI)」について、田口早桐先生にお聞きしました。

不妊治療 2人のスタートガイド #4
※参考:「妊活たまごクラブ 初めての不妊治療クリニックガイド 2024-2025」

治療の前に行う卵巣刺激

自然周期では、1度に排卵される卵子の数は1個です。
そのため複数の卵子を採取するために、排卵誘発剤(飲み薬か注射)によって卵巣を刺激し、複数個の卵胞発育を促します。

体外受精では卵巣刺激を行うのが一般的。また、人工授精でも自然周期ではなく卵巣刺激をする場合も。
排卵誘発剤を使って複数個の卵胞を上手に発育させてから採卵し、授精をします。
卵巣刺激の方法は経口剤を使用する低刺激法や、注射薬がメインとなる高刺激法など、それぞれに特徴があり、女性の年齢や治療計画、施設によっても選ぶ方法はさまざまです。
一概にどれがベストであるかは難しい問題ですが、結果重視の場合は高刺激法が一般的です。

排卵の誘発法

自然排卵は1サイクルで1個しか排卵されないため、できるだけ多くの良質な卵子を採取するために、排卵誘発剤で卵巣に刺激を与え、人工的に排卵周期をつくります。卵巣刺激の方法はいくつかありますが、現在はPPOS(Progestin-primed Ovarian Stimulation)が主流です。

●低刺激
強い刺激で効果が得られない場合や卵子を採取する数をセーブしたい場合に行います。日本では、海外に比べて低刺激法を行う施設が多く、飲み薬の単独使用か、注射を併用します。

●自然周期
排卵誘発剤を使わず自然に育った卵子を採取する方法です。体への負担は少なく、他の方法を試したあとに行う場合もありますが、採卵1回あたりの妊娠率は他の方法より低め。

●高刺激
強い刺激を与える方法。点鼻薬を使うロング法、服薬と注射で行うアンタゴニスト法などがありますが、最近では黄体ホルモン剤(プロゲスチンなどの飲み薬)で排卵をコントロールしながら卵巣を刺激に加えるPPOSが普及しています。

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