室温18℃未満は要注意! 屋内にいても起きる冬の低体温症


写真:PIXTA

毎年夏が近づくと、熱中症リスクについて注意喚起されることが多いですが、冬は低体温症を発症する恐れがあることをご存じでしょうか。

低体温症とは、深部体温が35℃以下に低下する状態を指し、悪化すると命にかかわることもあります。

冬の災害時には、電気やガスなどライフラインの断絶により、十分に温まることができず、低体温症を発症する恐れがあります。

しかし、災害時だけでなく、普段の生活の中で自宅にいても、低体温症で搬送される人が後を絶ちません。

この記事では、低体温症とはなにか、そして低体温症を防ぐための対策について解説します。

低体温症とはどんな状態?

低体温症は、深部体温が35℃未満に低下した状態を指します。

深部体温とは、皮膚表面の温度とは異なり、脳や心臓など身体の内部の温度のことです。これらの臓器を守るために、健康な状態であれば、通常は37℃程度に保たれています。

私たちの身体は寒さを感じると、自分で熱を生産して温まろうとします。しかし、寒すぎたり、寒い場所に長い時間いたりすると、体温調節機能がうまく働かず、低体温症が生じることがあります。

低体温症の重症度およびそれに伴う症状は以下のとおりです。

出典:日本内科学会「災害時の圧挫症候群と環境性体温異常」

深部体温が30℃未満の重症になると、体温の調節ができなくなり、バイタルサイン(生命兆候)が低下します。

すぐに救急車を呼び、衣服や毛布で保温したり、状況によっては心肺蘇生を始めとした救命措置が求められることもあります。

屋内でも低体温症に注意!

低体温症は雪山などの寒い屋外などで起こるものと思われがちですが、実は屋内でも注意が必要です。

とくに、高齢者や持病のある人は体温調整がうまくできず、寒さを感じにくくなるため、気づかないうちに低体温症になってしまう恐れがあります。

以下のような状況では身体の熱が失われやすく、低体温症を生じるリスクが高いと考えられます。

● 冷たい地面に長時間接触する

● 水に濡れたまま放置する

● 冷たい風に当たり続ける

具体的には「飲酒後に玄関で寝込んでしまった」「雨で濡れた服を着替えずそのまま過ごした」「寒さを感じても暖房を使わず過ごした」などの状況では注意が必要です。

寒い環境では、早めに保温に努めることが大切です。低体温症は身近な場面でも起こることを知っておきましょう。

室内温度の目安は18℃以上

WHO(世界保健機関)は、室温を18℃以上に保つことを推奨しています。室温が低いと、血圧が上がったり、睡眠の質が悪くなったりして健康へ悪影響を及ぼす恐れがあるためです。

とくに、寒い地域の家や窓の多い家など、室内の温度が上がりにくいところでは工夫が必要です。

ただし、日本の住宅では室温調整が難しいこともあります。たとえば、家の断熱性能が低かったり、デザイン性を重視して室内の温度管理が難しかったりするケースです。

そもそも日本では「寒い家は危険だ」という認識を持っている人はあまり多くないかもしれません。2019年度の調査によると、日本の家における冬の平均室温は、次のような結果でした。

● 居間:16.8℃

● 脱衣所:13.0℃

● 寝室:12.8℃

出典:冬を快適に過ごすためのヒント|厚生労働省

いずれの場所でも18℃を下回っていることがわかります。まずは、低い室温のリスクを意識することから始める必要があるのかもしれません。

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