子どもの発熱 解熱剤を使う・使わないの判断ポイント

第3回 子どもと発熱
子どもが熱を出すと、かわいそうで薬で下げてあげたくなる。しかし、薬を適切に与えたいのに、その前に「ご飯を食べない」「うまく飲んでくれない」などと悩みも多い。それにしてもそもそも薬って、子にそんなに与えてもいいものなんだろうか。こども元気!内科クリニックの院長手塚勝也先生に、薬の与え方について聞いた。

● 発熱で解熱剤を使う時

子どもの熱が出ると焦ってしまいますが、まずはどうすればいいですか?

「熱が出た場合には1日2~3回、熱を測ってあげましょう。最近は計測機器もいろいろありますので、自分が使いやすいものがいいでしょう。もし1回目と2回目で違った場合には、その平均を取って、熱として考えてあげます」(手塚氏 以下同)

熱は平均の値を取り、子どもの様子もチェック。病院に行く時は、体温と測った時間も伝えて欲しいという。いざ病院へ行くと、熱さましを処方される病院とされないところがあるが、解熱剤は飲むべきなんだろうか?

「高い熱でも元気であれば、解熱剤は使う必要はありません。でもぐったりしている場合には、解熱剤を使って、少しだけ下げることにします。『自分の出した熱でバテテしまったので、少しの間、下げて楽にして上げましょう』そんな感じです。解熱剤が効く時間はせいぜい3~4時間くらいまで。その間に水分摂ったり、寝たりできますね」

“熱は敵ではなく味方”熱を上げることでウィルスや細菌と戦っているそうだ。そう考えれば、熱もありがたい存在だと思えてくる。こんな時、少しでもうまくやり過ごすために、水分補給が必要になってくる。熱が出ている時の水分を取る時は、スポーツドリンクがいいだろうか?

「スポーツドリンクよりもOS-1などの経口補水液がいいですね。OS-1の他に、子ども用にアクアライト、ビーンスタークなどがあります。熱が出たときにスポーツドリンクばかりを飲ませる人がいますが、実は塩分と糖分が強く、スポーツしている大人向けなんですよね。それに比べてOS-1などは、適切な電解質が入っていて、点滴に近いような成分です。熱が高い時はこちらの方がいいですね。実はこの手の商品は、昔からあったんですが、味が薄くてあまり飲みやすくないかもしれません。ただ真水だけだとちょっと塩分、糖分が足りないかもしれないですね」

子どもの発熱 解熱剤を使う・使わないの判断ポイント

● 子どもの発熱には座薬もメリットがある

では、解熱剤は、シロップ、粉薬、座薬どんなものがいいんだろうか?

「うちのクリニックの場合、希望する薬の形状を渡しています。粉薬の希望が多いですね。座薬はなかなか、やったことがなくて、ためらう親御さんも多いです。座薬は、入れるのに少しコツが要りますが、ぐったりしていて、うまく口から摂れない場合などにはとても有効です。慣れてくると意外と簡単に使えます。解熱剤の座薬には大きさなどに規格(5mg 10mg 20mg)などがあるので、お子さんの体重に合わせて、はさみなどで切って量を調節して使用することがあります。『座薬を入れてすぐにウンチで出しってしまった』などの話をよくお聞きしますが、10分~15分間程度入っていたのであれば、無理に追加せずに、効いてくるのを、少し待ってみてもいいでしょう。もちろん、シロップ、粉薬も喜んで飲んでくれるのなら、それでも結構です」

実際、肛門から入った座薬は直腸などに壁から溶けて直接、吸収されるので、早めに効いてくるそうだ。今まで座薬を使ったことがない人は、熱が出た子どもに一度試してみてはいかがだろうか? そのためにもまずはかかりつけのお医者さんと相談してみよう。

(取材/文 谷亜ヒロコ)

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お話をうかがった人

手塚勝也
手塚勝也
こども元気!内科クリニック
1969生まれ、北里大学医学部卒。北里大学病院、聖マリアンナ医科大学病院などに勤務の後、2001年神奈川県川崎市でこども元気!内科クリニック開院。日本小児科学会会員、小児科専門医取得。地元の園医 校医などを多数兼任。
1969生まれ、北里大学医学部卒。北里大学病院、聖マリアンナ医科大学病院などに勤務の後、2001年神奈川県川崎市でこども元気!内科クリニック開院。日本小児科学会会員、小児科専門医取得。地元の園医 校医などを多数兼任。