●EQが高い人は、感情の乱れに思考力を阻害されない
心の成熟度と社会的な成功は比例すると語る大坪氏。
「昨今、『EQこころの知能指数』という本がベストセラーになりましたが、著者ダニエル・ゴールマン氏は、知能(IQ)よりも心(EQ)が大事だといっています。ゴールマンによれば、EQ能力を発揮している人には、次のような条件があります」(大坪氏 以下同)
【EQ能力を発揮できる人】
1.自分自身を動機づけ、挫折してもしぶとく頑張れる人
2.衝動をコントロールし、快楽を我慢できる人
3.自分の気分をうまく整え、感情の乱れに思考力を阻害されない人
4.他人に共感し、希望を維持できる人
「EQが高い人は、どのような困難に襲われても笑顔で受入れて取り組むことができ、周囲から敵視されることなく人間関係を構築していけます。人の態度や物言いなどのあらゆる言動は、その時々における自分自身の感情の状態に大きく左右されていると考えられることができるかどうかもポイントのひとつ。このことを意識してうまく利用することができるのはひとつの能力であり、この能力は誰もが備えているものなので、適切な訓練によって、発揮する力を高めることができるという概念があります」
つまり、自分の『今の感情の状態』を認識し、それをコントロールすることさえできれば、自分にとって適切な行動をとることができるし、前向きな感情を生み、前向きな行動を作りだすことができるのだ。
さらに言えば、相手の『今の感情の状態』を認識することができ、相手に対して配慮できる言動がとれるようになれば、対人コミュニケーションはとても円滑にいくと大坪氏は語る。
「EQは、“挫折回復力”とも訳されています。人生は決していいことばかりが続くわけではありません。ときに苦しく、耐えられないような試練が訪れます。EQはそんな逆境に耐える力を意味しています」

●社会に出てから活躍するためにはEQが必要
大坪氏の解説によれば、IQが全面的に役に立つのは有名企業に就職するまでであり、社会に出てから活躍するためにはEQが必要だという。
「本当の早期教育とはIQだけを追及し行うものではなく、EQに関しても同様に育てることをいいます。IQに偏った早期教育をしてしまった結果、一流大学に入り有名企業に就職したところで、仕事に挫折してしまうというのはよく見られるケースですよね。EQの基礎を身に着ける機会は、生後すぐ両親の子育てのなかで始まり、形成は学童期(6~11才)を通じてずっと続きます。後年になって身につくEQは、その基礎上に積み重ねられていくといえるでしょう」
親がテストの結果やIQだけにとらわれていると、社会に出てから子どもが泣くハメになるかも…。何事もバランスが大切! IQとEQを兼ね備えてこそ、最強の人間になれるのだ。
(取材・文/蓮池由美子)
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