あきらめないで!話題の【パラレル家事】で、ママの不満を撃退

第1回 パラレル家事ってなに?
「何で私ばかり家事をこなさなければならないの?」「共働きなのに不平等じゃない?」そんな不満を抱えているママたちは、“パラレル家事”という言葉をご存じだろうか? 夫婦や家族円満の糧となるともいうパラレル家事について、家事シェアの大切さを説くNPO法人「tadaima!」代表・三木智有氏を取材。パラレル家事の具体的な実践法やうまくいくコツを聞いた!

●パラレル家事は、メンタル面でも効率的

そもそもパラレル家事ってどんな家事のこと?

「パラレルというのは“並行”という意味。“家事はパパとママが同時進行で進めた方が効率的でおススメ”というのがパラレル家事の基本的な概念です。NPO法人『tadaima!』で “ママが家事をしている間、パパは何をしていますか?”というアンケートを取ったところ、テレビやスマホを見ている、読書、仕事をしているという回答がほとんどで、“一緒に家事をしてくれる”という回答はほとんどない状態でした。実はママだって、夫に寝る時間を削ってまで何かやって欲しいと思っているわけじゃない。どんな時にイラッとするか…と聞けば、“自分が家事をやっている時に、夫にぼーっとされると何よりも腹が立つ”と言います」(三木氏 以下同)

そんな不満を軽減させるために、ママが家事をやっている間はパパも何か手伝う…それがパラレル家事の基本だという。

「夫婦が並行して動くことは、メンタル面でも、作業的な面でも実に効率的だと言えます。不平等だという不満や問題は、単純にパパの家事時間を増やすことではなく、ママを家事のプレッシャーから解放することで解決することができるのです。パパの家事参加を増やす理由は、それによって家族みんなが心地よく暮らせるためであると言えます」

それでは、パラレル家事をどう実践すればよいのだろうか。

「あまり重く受け止めず、夫婦間でコミュニケーションが取れていれば、その場その場で習慣づけるようにお願いすればいいと思います。例えばパパの気持ちに余裕がある土日や休日、ご飯を作るタイミングの前に、“今からご飯を作るから、お風呂の準備しておいてくれる?”“料理を並べるから食卓を拭いてくれるかな?”と聞いてみましょう。“私が〇〇しているから、その間に〇〇をしておいて”が基本で、こうお願いすると、パパ側も受け入れやすいんですね。ただ“お掃除しておいてくれる?”と頼んだところで、パパは具体的にいつやればいいのかわからない。夫婦が同時に動くことが大事なんです」

パラレル家事には、もうひとつ、大切なコツがあるという。

「その時の気分や感情で場当たり的に毎回違うことを頼むのではなく、パターン化することが大事です。例えば、ご飯を作る間にお風呂を入れる、料理を並べる前にテーブルを拭くなど、毎回同じことをしてもらうようにしましょう。繰り返すことで、ママから言われなくても、パパが自然と動くようになりますし、次第に自分でも、“これをやっておいた方がいいかな?”とわかってくるようになるんですね。毎回違うことだとパパもイライラしてしまい、“なんでこれをやらされているの?”と面倒くさくなる恐れがあります。パパが余計なことを考えないように、習慣化することが大切です」

パラレル家事

●大きな家事は時間的な余裕を持って頼む

大きな家事であれば、時間的な余裕を持って頼んでほしい、と語る三木氏。

「家事は、その日の気分によってやり方が変わってしまうことが多いですよね。例えば休日のお昼を食べた後、家族でゆったりとテレビを見たりしているときに、ママが唐突に掃除をし始めて、“あなた、何もしないでテレビ見ているんだったら、たまにはトイレを掃除してきてよ!”となるケースもあるのではないでしょうか。そうなると、当然パパ側も“なんで俺が?”となるわけです。大きな家事は事前に伝えておくことが大切で、この場合も、“午後は掃除をしたいから、その間にトイレ掃除をお願いできる?”と時間的な余裕を持って伝えてみて下さい」

テレビやスマホを見て暇そうにしているように思えても、実はそれがパパにとって大事な時間であるという認識も忘れてはならない。

「毎週ものすごく楽しみにしているテレビ番組かもしれないし、スマホで仕事の調べものをしているかもしれません。暇そうに見えるけど、パパも決して退屈を持て余しているわけじゃない。家事を頼むということは、相手の時間を奪う行為にもなり得るので、大きな家事をお願いするときは、時間的なゆとりを持たせるようにしましょう。そうすることで”じゃあそこに合わせてこれをやっておこう“とか、パパも1日のスケジュールを組むことができます。男性は、感情で何かを押しつけられることを嫌う傾向がありますし、誰だって、自分が何かやっている作業を中断させられるのは嫌ですよね」

1度委ねた家事にダメだしするのも、当然ながらNGだ。

「やり方が気に入らないかもしれませんが、単純にママのやり方と違うだけ。“雑だからもっとこうして!”とダメだしするのではなく、“こうするともっと楽にできるよ”という方向でアドバイスするようにしてみましょう」

ちょっとしたコツさえつかめば、パパもママもお互いが気持ちよく、同じ時間を共有することができるパラレル家事。2人で行えば家事の効率も上がるので、余った時間を子どもたちのために有意義に使うことができる。夫婦円満の秘訣は、意外と些細なところにあるのかもしれない。

(取材・文/蓮池由美子)

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三木智有
三木智有
NPO法人tadaima!代表理事
日本で唯一の家事シェア研究家、子育て家庭のモヨウ替えコンサルタント、内閣府「男性の暮らし方・意識の変革に関する専門調査会」委員。”10年後、20年後も「ただいま!」って帰りたくなる家庭にしよう!” をスローガンに家族の家事シェアを当たり前にする活動を行っている。
日本で唯一の家事シェア研究家、子育て家庭のモヨウ替えコンサルタント、内閣府「男性の暮らし方・意識の変革に関する専門調査会」委員。”10年後、20年後も「ただいま!」って帰りたくなる家庭にしよう!” をスローガンに家族の家事シェアを当たり前にする活動を行っている。

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