子どもの咳が秋に目立つのはなぜ?

第1回 かぜ? アレルギー? 肺炎? ぜんそく? 子どもの秋の「咳」問題
秋めいてくると、夏の疲れか、季節の変わり目のためか、咳をする子どもが目立つ。

そもそもなぜ秋に咳が増えるのだろうか。慶友銀座クリニックの大場俊彦院長に聞いた。

「秋は、夏に比べて気温や気圧の変化が激しく、体調を崩しやすいということがひとつ。また、夏場に増殖したダニが死骸となり、吸い込んでしまうことによるアレルギーもあります」(大場院長 以下同)

こうした時期の咳は、アレルギーによるものか、かぜなのかわかりづらい。見分け方はある? 

「咳の症状には大きく分けて2種類あります。ひとつは、コンコンという乾いた咳で、『乾性咳嗽(かんせいがいそう)』といいます。もうひとつは、痰(たん)がからんだゴホン、ゴホンという湿った感じの咳で、『湿性咳嗽(しっせいがいそう)』といいます」

コンコンという「乾性咳嗽」は、痰(たん)はほとんど出ないもの。アレルギーのほか、気管支喘息、咳喘息、ストレスなどの心因性の場合なども考えられるそう。

また、ゴホンゴホンという「湿性咳嗽」は、粘性の強い、あるいは色のついた痰が出るもの。かぜや肺炎などのほか、副鼻腔炎など、鼻の病気による場合もあるそうだ。

つまり、大まかに見て、痰(たん)がでるほうがかぜの咳、痰(たん)が出ないのはアレルギーの咳という違いがあるようだが、ぜんそくやほかの病気のケースもあるため、自己判断は禁物のよう。

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マスクをする女児

●かぜの咳はおもに鼻からのウイルスが原因

「『かぜ症候群(普通感冒)』は、急性の上気道の炎症性疾患の総称で、おもに鼻からのウイルスの感染が原因です。子どもの場合、アデノウイルスやパラインフルエンザウイルス、RSウイルスが原因となる場合が多いです。また、成人の多くはライノウイルスが原因で、秋や春に多い傾向にあるのですが、大人から子どもに感染するケースも頻繁に見られます」

ほかに、寒さやアレルギー、化学物質の吸入が原因となることもあるそう。

「かぜ症候群の症状は、感染後数日間程度で鼻水や鼻づまりとなり、その後、咳が始まるということが多いです。まずは安静第一で、症状に応じての薬の投与により、1週間程度で良くなるのが一般的です」

また、子どもに意外と多いのは、「副鼻腔炎」による咳という。

「流行性感冒がきっかけで鼻水・鼻づまりなどが長引き、最初はさらさらとした鼻水から、黄色いどろっとした鼻水になります。こうした鼻水がのどの奥の方へ流れ、『後鼻漏(こうびろう)』となり、それが刺激となり咳が出るのです」

●咳は防御反応のひとつ 市販薬の使用が症状悪化の原因にも

子どもの病気の症状に多い「発熱」と「咳」。なかでも咳は、外部から侵入したかぜのウイルスや細菌、ほこりや食べ物が、空気の通り道のどこかにあるとき、これらの異物を排除しようとして反射的におこる行動。いわば、人間本来がもつ防御反応のひとつという。

同様に、鼻水やくしゃみも、異物を体外に出す防御反応のひとつだ。

「気をつけたいのは、市販薬を安易に使うこと。咳は、異物を体外に出そうとしている防御反応です。ですから、咳が出るという理由だけで、市販の強い咳止めを安易に使用すると、咳は止まるものの、痰(たん)が排出できなくなり、気管支喘息の発作の場合は悪化してしまうこともあるのです」

たかが咳、されど咳。悪化させないよう、早めの受診・治療がオススメだ。

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(取材・文:田幸和歌子 編集:ノオト)

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お話をお聞きした人

大場俊彦
大場俊彦
慶友銀座クリニック
耳鼻咽喉科・アレルギー・内科・レーザー手術・いびきを専門とする医師として、慶応義塾大学病院や東京都済生会中央病院、国立小児病院で学んだ最先端の耳鼻科医療を提供。
耳鼻咽喉科・アレルギー・内科・レーザー手術・いびきを専門とする医師として、慶応義塾大学病院や東京都済生会中央病院、国立小児病院で学んだ最先端の耳鼻科医療を提供。

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