止まらない咳、犬のような「ケンケン」という咳…注意が必要な子どもの咳の種類って?

第2回 かぜ? アレルギー? 肺炎? ぜんそく? 子どもの秋の「咳」問題
夏に比べ、気温や気圧の変化が激しいことなどから、体調を崩しやすい秋。この時期は子どもに咳が増えるケースは少なくない。

子どもの咳に多いのは、おもにウイルスを鼻から吸い込んでしまうことによる、ウイルス感染が原因の「かぜ症候群」だという。

また、副鼻腔炎など、鼻の病気によって、鼻水がのどの奥へ流れ、刺激となって出る咳もあるそう。

「さらに、子どもの咳には、特に注意が必要なものがあるんです」

こう話すのは、慶友銀座クリニックの大場俊彦院長だ。

●「ケンケン」と犬が吠えるような咳に要注意!

「一般的に咳は、コンコンという乾いた咳の『乾性咳嗽(かんせいがいそう)』や、痰がからんだゴホン、ゴホンという『湿性咳嗽(しっせいがいそう)』に分かれます。ただし、気をつけたいのは、ケンケンケンという、犬が吠えるような咳。これは『犬吠様咳嗽(けんぼうようがいそう)』といい、クループ症候群による大変危険な咳です」(大場院長 以下同)

「クループ症候群」とは、ほとんどがウイルスによって起こるもの。声を出す部分の「喉頭(こうとう)」が炎症のため腫れてしまい、空気が通らず呼吸困難症状になるという危険な疾患だそう。乳児期から小学校に入る前の幼児に多く見られるという。

「症状としては声が出なくなる、発熱などがあります。空気が乾燥して冷たくなっていく秋から冬に起こりやすく、夜間に悪化するといわれています。かぜ症状に引き続いて起こり、ひどくなると入院治療になることがあります」

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咳をする女児

●咳とひとことでいっても病気はさまざま

ほかに注意が必要な咳の病気として、以下を挙げてくれた。

■急性気管支炎
(症状)かぜとよく似た症状。多くは、かぜ症候群での上気道の急性の炎症が連続する気管から気管支へと広がっていくことにより、発症すると考えられている。鼻水やのどの痛みがおさまったのに、咳だけ続いているときに、急性気管支炎を発症している場合も。

(原因)かぜ症候群と同様にウイルスによるものが多い。
(治療)発熱があり、膿性の痰(たん)がある場合は、細菌の感染がある可能性があるため、抗菌剤の内服治療となる。

■肺炎
(症状)発熱と咳と多呼吸がおもな症状。発熱が長引くときは、要注意。胸の音が悪く、血液検査で白血球数や炎症反応が高値になり、レントゲンの異常がある。
(原因)子どもの肺炎の原因は年齢により異なる。以前は肺炎球菌が原因の場合が多かったが、肺炎球菌ワクチンの普及により、かなり減少した。現在は、インフルエンザウイルスやRSウイルスなどのウイルス性のものが多数。また、児童はマイコプラズマと呼ばれる細菌微生物によって起こるマイコプラズマ肺炎も多数。
(治療)ウイルス性肺炎には、対症療法が一般的。細菌性の肺炎の場合は抗菌剤の投与でよくなることが多い。抗菌剤が効かないウイルス性肺炎の場合は、入院に至ることも。

■百日咳
(症状)特徴的なけいれん性の咳の発作がある急性の気道の感染症。
(予防&治療)母親からの免疫が期待できないので、世界各国でワクチンをうつ。そのために、患者の数は激減している。ただし、ワクチン接種していない人の発病はあるので、注意が必要。

子どもの場合、特にかぜをこじらせて急性気管支炎や肺炎などになるケースも多いので、長引かせないよう細心の注意と早めの受診が大切だ。

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(取材・文:田幸和歌子 編集:ノオト)

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お話をお聞きした人

大場俊彦
大場俊彦
慶友銀座クリニック
耳鼻咽喉科・アレルギー・内科・レーザー手術・いびきを専門とする医師として、慶応義塾大学病院や東京都済生会中央病院、国立小児病院で学んだ最先端の耳鼻科医療を提供。
耳鼻咽喉科・アレルギー・内科・レーザー手術・いびきを専門とする医師として、慶応義塾大学病院や東京都済生会中央病院、国立小児病院で学んだ最先端の耳鼻科医療を提供。

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