安全に自転車に乗るために知っておくべき4つのこと

第3回 事故を起こす前に知っておきたい、自転車交通のルール
毎日安全に自転車に乗るために、どのような心がけが必要なのか。自転車の安全利用促進委員会の遠藤まさ子さんに、安全な自転車ライフを送るための4カ条を聞いた。

●子どもはヘルメットを着用する

「小学生のヘルメットは、学年が上がるとチェックが甘くなりがちです。個人的には『6年生まではヘルメットをかぶらなければ自転車禁止!』というくらい、厳しくしていいかと思います」(遠藤さん 以下同)

遠藤さんによると、自転車乗車中に交通事故で死亡した人の7割は頭部損傷で亡くなっているそう。頭をきちんと保護していれば、事故に遭っても死亡事故に至らずに済む可能性が上がるのだ。

自転車に乗る子ども

●「安全に、ゆっくり走る」がスローガン

「子どもはスピードを出したがる子が多いので注意が必要です。スピードを出しすぎると、制御不能となって物や人にぶつかる事故を起こしやすくなります。「危ない!」と思ったときはもう遅いので、とにかく『安全に、ゆっくり走る』ことをスローガンにしましょう」

事故が起こりやすいスポットは交差点や、住宅地の細いT字路などだ。一時停止や徐行を心がけ、その都度安全確認を怠らないようにしよう。

また、歩道は歩行者のためのものだと改めて意識することも大切だ。歩道を走るときは「歩行者にとって安全に走る」ことを念頭に置き、車道側を時速7~8キロ程度でゆっくり走行する。その際、歩いている人がいたら、一度止まって道を譲るようにしよう。

●定期的に自転車のメンテナンスをしよう

「自転車も“乗り物”です。そもそも自転車の整備がされていなかったり、安い自転車などでブレーキがきちんと効かないものに乗っていると、危険につながります。タイヤの空気が抜けている場合も、ブレーキがかかりにくくなります」

また、一般社団法人自転車協会の定める安全基準をクリアした自転車に貼られる「BAA」マークがある製品を選ぶことも重要だ。

さらに、安全に自転車に乗るためには、最低半年~1年に1回は自転車店で点検整備をしてもらうことが重要だ。

「どんなに乗る人が気をつけていても、自転車そのものが危険であれば事故に遭うリスクも高まります。問題なく走っていても、定期的にメンテナンスを行いましょう」

●自転車保険に加入する

「近年、保険加入義務がない自転車の事故をめぐって、高額な賠償命令が出されるケースがみられます。2008年には兵庫県神戸市で、小学生男児(当時)と歩行者の衝突事故をめぐり、神戸地裁が少年の母親に約9500万円の賠償請求を言い渡した判例がありました」

そこで注目されているのが自転車保険だ。

自転車保険には、自分が怪我をしたときの治療費をカバーする「傷害補償」と、第三者の身体や財物を傷つけたときの損害賠償金をカバーする「個人賠償責任補償」で構成されており、保険会社によっては月額数百円から加入できる保険もある。

「自転車保険に加入するメリットは、賠償金だけでなく、示談交渉を代わってもらえることにつきます。保険会社によると、加入者の年齢が低いほど『相手に賠償金を支払う率』が高くなり、年齢が高くなると『(怪我などで)被保険者に保険金を支払う率』が高くなるそうです」

もし事故にあった際の賠償金や入院費などが心配なのであれば、共済や自動車保険・火災保険の付帯などでカバーできる可能性も高い。また、自転車保険に特別加入するよりは割安であることが多いので、まずは家でかけている保険全般を見直してみよう。

自分自身や家族はもちろん、他人のすこやかな人生を守るために。安全に楽しく自転車に乗ろう。
(取材・文:北東由宇 編集:ノオト)

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お話をお聞きした人

遠藤まさ子
遠藤まさ子
自転車の安全利用促進委員会
自転車ジャーナリスト。「AllAboutガイド」(自転車・育児用品ベビーカー、三輪車・子供用自転車、抱っこ紐・おんぶ紐にも詳しい。自転車雑誌の編集経験と母親の目線を活かして、読者に役立つ情報提供している。
自転車ジャーナリスト。「AllAboutガイド」(自転車・育児用品ベビーカー、三輪車・子供用自転車、抱っこ紐・おんぶ紐にも詳しい。自転車雑誌の編集経験と母親の目線を活かして、読者に役立つ情報提供している。

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