●授業内容を話させることが復習につながる!
子どもの年齢に合わせた家庭学習で、親が気をつけるべき習慣はあるのだろうか。藤島氏が、忘れてはならない親の心構えを年齢別にレクチャーする。
【小学校低学年】
「“学校で何を教わったのかを教えて”といった具合に、子ども自らが整理し、説明させる時間を共有しましょう。学校での理解度が低かった子は上手にお母さんに説明することができないと思いますが、その場合、教科書を開いて先生がどんなことを話していたかを聞いてみるのもいいですね。思い出す力、記憶をたどる力(復習)が養われます。逆によくできる子は、授業の先まで話を進め、“今度はどうなると思う?”と聞くと予習につながります。時間は、全教科合わせて学校の一時限分で充分です」(藤島氏 以下同)
【小学校中高年】
「中高年からは、家庭学習においても“なぜ正答したのか”“どこをどう間違えたのか”といった解答までのプロセスをはっきりさせることが大切です。その子の学習面での現在地を正確に知ることで、理解が飛んだポイントに戻ることができます。この問いかけによって、子どもの原因究明力が高められ、自己分析することで客観的な思考も発展していきます」
【中学生】
「この時期になると“勉強時間のわりに結果が出ない”というお子さんがでてきます。“勉強したつもり、覚えたつもり”になっているケースです。どれだけの時間を勉強に費やしたかではなく、どれだけのことを身に着けたかがより重要になります。予習より、復習に時間をかけるようにしましょう」
【高校生】
「いよいよ大学受験が間近に迫ってきます。先日、東大生に“受験前は何時間勉強していましたか”と聞く機会がありました。結果は1日に3時間から18時間までとバラバラでした。目指す大学や性格などで個人差があることは否めませんが、今後は大学入試のスタイルも変わり、東京への一極集中を避けるため、都内の大学入学者数の制限が始まります。一層の狭き門となりますね。その狭き門をくぐるためには、勉強にかけた時間が勝負ではなく、日頃いかに積み重ねて勉強しているか…がカギとなります」
相対的に見て、OKまたはNGな家庭学習についても教えてくれた。
【親がやってはいけない家庭学習】
・学校や塾とは違う解き方で教える
「小学生の家庭学習に付き添う時、ついついわが子に自分流の指導したくなると思います。しかし自分たちが習っていたやり方がもう古かったりすることもありますし、大人にとって便利な解き方も子どもが仕組みを理解できていなければ、安易に教えてしまうことは問題があると言えます」
・せかす
「大人が見れば簡単な問題もあるでしょう。“こんな問題もわからないなんて…”と焦ったりしていませんか。まだ考えている途中なのに、“何でこんなのもわからないの! 昨日もやったばっかりじゃない!”などといつもせかして思考を中断させてばかりいると、自分から手を動かすことが苦手な子になってしまいます。そのひとことをグッと我慢しましょう」
【やってほしい家庭学習】
・勉強した効果が表れた時は、素直にほめる、一緒に喜ぶ
「勉強をした結果、新しい知識を得たときの喜びや感動を親も共有しましょう。それによって子どもは、勉強する喜びや楽しさを実感し、“学びたい”という意欲が湧き、自ら勉学に向かうでしょう」
・大人扱いをする
「特にお母様は、今まで育ててきたお子さんをいきなり大人扱いできないかもしれません。大人扱いすることで、自分で判断したり選択したりする癖がつきます。しかし自分の判断ですから、責任が伴うことも教えてあげてください。うまくいったら褒めてあげればよいですし、うまくいかなかったら責任を自覚させた上で、上手にフォローしてあげてください」

●思春期以降は家庭学習を強要せず支援すること!
思春期以降、親は子に“勉強を強要する必要はない”と語る藤島氏。
「反抗期真っ盛りな年頃の子どもは、親が言うことが正しいと思う反面、親の言いなりにはなりたくない自分がいたり、勉強を頑張りたいと思いながらもなかなか勉強がはかどらないなど、モヤモヤしています。また、興味がないことや嫌なことをついつい避ける様になっています。そこで“やる気”を出させ、何かを自ら進んでさせたいときは、親は子どもに強要するのではなく、支援することが大切です。この時期の子どもたちは、気持ちの折り合いを上手につけることができないので、支援という気持ちを持ち、親が余裕を持って声かけするようにしましょう」
親のその余計なひとことが、子どもを苛立たせ、かえって勉強嫌いな子どもにしてしまう可能性も…。本末転倒ということにだけはならないように、親が冷静に見守り、子どもの能力をさりげなく引き出す技が必要だ。
(取材・文/蓮池由美子)
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