カルビー株式会社研究開発部の研究員らは、複数のプレバイオティクスを含むグラノーラの摂取が、日本人成人において腸内のビフィズス菌を増加させ、ストレスの軽減と主観的な睡眠の質の改善に寄与することを明らかにしました。この内容について久高医師に伺いました。
監修医師:
久高 将太(琉球大学病院内分泌代謝内科)
琉球大学医学部卒業。琉球大学病院内分泌代謝内科所属。市中病院で初期研修を修了後、予防医学と関連の深い内分泌代謝科を専攻し、琉球大学病院で内科専攻医プログラム修了。今後は公衆衛生学も並行して学び、幅広い視野で予防医学を追求する。日本専門医機構認定内科専門医、日本医師会認定産業医。
研究グループが発表した内容とは?
カルビー株式会社研究開発部の研究員らが発表した内容を教えてください。
久高先生
カルビー株式会社の研究者らは、ストレスに起因する睡眠障害を抱える日本人成人において、プレバイオティクスを含むグラノーラの摂取が腸内環境に与える影響と、それによるストレスおよび睡眠の質の改善効果を検証しました。
研究には27名の成人が参加し、8週間にわたり毎日50gのグラノーラを摂取しました。その結果、アテネ不眠尺度やエプワース眠気尺度などによる主観的な睡眠評価で改善が確認され、ストレスに関する質問票や気分評価でも有意な改善がみられました。また、腸内細菌叢の解析では、ビフィズス菌が増加し、バクテロイデス菌が減少していたとのことです。さらに、ビフィズス菌の増加は、ストレスおよび不眠スコアの低下と有意に相関していました。
これらの結果は、腸内環境の改善がストレス緩和や睡眠の質向上に寄与する可能性を示唆しています。ただし、本研究は単群非対照試験であり、比較対象となる対照群が存在しないため、因果関係の推定には対照群を含む大規模な試験が必要です。また、プレバイオティクスの種類や個々の腸内細菌叢の違いによる効果のばらつきについても、さらなる検証が求められます。
グラノーラの健康効果について
「グラノーラは砂糖が多く体に悪い」という話も聞きますが、実際のところ健康に良いのでしょうか?
久高先生
グラノーラは、食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富で腸内環境の改善に役立つ栄養価の高い食品である一方、市販の多くのグラノーラには砂糖や油脂が多く含まれている場合があり、食べ過ぎるとカロリー過多や血糖値の急上昇につながる可能性があります。そのため、健康的に取り入れるためには、無糖または低糖の商品を選び、1食あたりの量を守ることが大切です。ヨーグルトや果物と合わせれば、栄養バランスも整いやすくなりますが、適量を守りましょう。
グラノーラは、お菓子感覚で食べるのではなく、朝食や間食として適量を意識することで、健康的に楽しむことができます。自分に合った商品を選び、食べ方にも気をつけながら、賢くグラノーラと付き合っていきましょう。
配信: Medical DOC