「まだ結婚しないの?」善意からくる「正論」に振り回されない心を守るコミュニケーション術

「まだ結婚しないの?」善意からくる「正論」に振り回されない心を守るコミュニケーション術

帰省や電話のたびに親や親戚からいわれる「まだ結婚しないの?」に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

相手が悪気がないからこそやっかいな『正論』への対処法とは?

反論しにくい言葉への対処法は、上司相手など、ビジネスシーンでの応用もおすすめ。

今回は、撫子Plus株式会社代表鮎永麻琴さまにお話を伺いました。

『善意』からくる『正論』だからこそつらい、プレッシャー

「そろそろいい人いないの?」

「親としての願いだから」

「あなたの幸せを思って言ってるのよ」

悪気はないと分かっていても、重くのしかかるこの問いに、笑顔でやり過ごすのがつらいと感じたことはありませんか?

両親や親戚の“結婚してほしい”という気持ちは、たいてい「善意」から来ています。

けれど、その善意が時としてプレッシャーやストレスになってしまうこともあります。

今回は、無理にぶつからず、でも自分の価値観は大切にしたい人のために、「結婚をめぐる家族との上手な付き合い方」について、コミュニケーションの観点からお伝えします。

親や親戚の「結婚しろ」は、なぜこんなに刺さるのか?

両親や親戚の多くは、「あなたに幸せになってほしい」という気持ちから結婚を勧めてきます。

ただその裏には、「自分たちの安心」「世間体」「年齢への焦り」といった感情が複雑に絡んでいることもあります。

つまり、「あなたの人生を思って」ではあっても、あなたの幸せをあなたの視点で考えているわけではないということが多いのです。

そのギャップこそ、無意識のうちにストレスになっているのです。

『親は悪くない』でも『私も悪くない』。

まず大前提として知っておきたいのは、どちらも間違っていないということ。

親や親戚が結婚を勧めてくるのは、子どもの幸せを願う気持ちや、世代的な価値観、自分の体験からくるアドバイス、これらが背景にあります。

一方で、今のあなたにはあなたの価値観やライフスタイルがある。

ですから、「結婚しろ=悪意」ではないけれど、それをそのまま受け入れなくてもいいのです。

押し返すより、「受け流す」が効く理由

正面から「結婚がすべてじゃない」「そんな言い方は傷つく」「昔の価値観を押し付けないで」などとぶつかる回答をしたくなってしまうこともあるでしょう。

しかしそうすると、相手は「心配してるのに」「なんでそんな言い方するの」と、防衛モードに入ってしまいます。

ここで大切なのは、戦わず、期待を受け流すスタンス。

例えば、

「そういう話、気にしてくれてありがとう。今はちょっと自分の時間を楽しんでるよ」

「結婚に焦りはないけど、いい出会いがあればちゃんと考えてるよ」

「色々考えてるけど、今はまだ答えが出せなくて。自分なりにちゃんと向き合ってるよ」

など、大切なのは「私は無関心じゃない」というニュアンスを伝えながら、話を広げずに終える技術です。

境界線を上手に引くテクニック

どんなに仲の良い家族でも、「心の距離感」が必要なときがあります。

感情が揺さぶられる質問には、答えない自由を持ちましょう。

感情的に反発するのではなく、「自分の考え+お願い(リクエスト)」という形で伝えると、伝わりやすくなります。

心を守るためのフレーズ例:

「その話はまた今度ね。最近〇〇にはまっててさ」

「ちょっと考え中だから、また気が向いたら話すね」

「今は結婚よりやりたいことがあるんだ。応援してもらえると嬉しいな」

話題をずらす・限定的に答える・会話の主導権をやんわり握る。

それだけで、気持ちがぐっとラクになります。

さらに、どうしてもストレスを感じる相手に対しては、

・会う頻度を減らす

・短時間だけ参加する

・事前に味方になってくれる親戚を味方につけておく

といった方法で、心の距離を保ちましょう。

「うまくかわす」力も、大人のコミュニケーション

何を言っても聞き入れてもらえないと感じる相手には、「戦わない選択」もアリです。

おすすめは、ユーモアや話題転換で“上手にかわす”技術。

これも、立派なコミュニケーションスキルです。

「えーと、今婚活アプリで選考中です(笑)」

「それより〇〇さん、最近体の調子はどう?元気そうで安心した!」

相手の批判や反論はせず、相手をかわしたり、話を逸らしたりできるような回答をイメージしておくといいでしょう。

では、「結婚=ゴール」という相手の思い込みは解けるのでしょうか?

相手が結婚を勧めるのは、「それが幸せの形だ」と信じているから。

でも、それが“常識”だったのは、数十年前の話かもしれません。

「独身でも充実してる人って周りに増えてるよね」

「今って結婚しても共働きが当たり前だけど、サポートって難しそうじゃない?」

「実はこういうライフプランも考えてるんだ」

「やりがいのある仕事をしていて、今とても充実しているよ」

「今」の状況や多様な生き方を「情報として共有する」ことも、固定観念をほぐすきっかけになります。

安心してもらうためにも、「この子はちゃんと前向きに生きている」と思ってもらえるような言葉を添えると効果的です。

まとめ:戦わない、でも譲らない。それが大人の対話

結婚は人生の選択肢のひとつであり、義務ではありません。

結婚をめぐる会話は、「正しさ」をぶつけ合うより、「違いを尊重する」ことが大切です。

誰かの価値観とぶつかるとき、自分を責めるよりも、まずは“自分の本音に優しくなる”ことが、心を守る最大のコツです。

親や親戚の言葉に心が乱されるときは、無理にわかってもらおうとせず、

まずは「自分はどうしたいのか?」を軸にした対話を心がけましょう。

そして何より、あなたが“自分の人生に納得していること”。

それこそが、他人の意見に揺さぶられない最大の防御力になります。

戦わない、でも譲らない会話術は、親戚づきあいだけでなく、知人間やビジネスシーンでも応用できます。

ぜひ、身に付けてみてくださいね。

[執筆者]

鮎永麻琴

大学時代にはプロスノーボーダーとしてW杯に出場し、世界ランキング20位を記録。卒業後は国際線CAとして13年間勤務。

現在は、コミュニケーションスキルと統計学を融合させた「コミュニケーション帝王学®」を体系化し、自分らしく生きるためのコミュニケーションの在り方や、他者との関わり方を伝えるオンラインアカデミーを開校。

また、2020年にはTEDxFukuokaで「自由への切符」というテーマで登壇。

2022年には書籍『Philosophy of Success 〜成功者の名言』において、成功者35人の一人として選出される。

撫子Plus株式会社

https://makotoayunaga.com/

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キレイ研究室
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「今よりもっと、これからもずっときれいでいるために。」をコンセプトに、化粧品開発、ヘルスケア、ネイリストなどさまざまなジャンルの専門家が、中立の立場から「キレイ」についてのコラムを発信しています。
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