子ども・子育て支援新制度の「病児保育」 施設はひとつじゃないって知ってた?

第6回 平成27年の4月から本格スタート:子ども・子育て支援新制度Q&A
2015年4月、子育て世帯やママを取り巻く環境は、大きく変わりました。それは、「子ども・子育て支援新制度」が始まったから。この「子ども・子育て支援新制度」には、保育園や幼稚園を利用するための認定について、子どもにかかるお金のことなど、様々なことが定められていますが、「病児保育」も注目したい項目のひとつ。

そんな「病児保育」について、「病児保育の施設には3つある」、そう話すのは、全国病児保育協議会会長・大川洋二(ひろじ)さん。

子ども・子育て支援新制度の「病児保育」 施設はひとつじゃないって知ってた?

「病児保育」を行う3つの施設って?

先ほど、大川さんが言っていた「3つの施設」。これらについて、解説してくれました。

「ひとつ目は、病院やクリニックに併設されている『医療機関併設型』。2つ目は、幼稚園や保育園などに併設された『保育園併設型』。そして3つ目は、『単独型』というものです」(大川さん、以下同)

では、それぞれの施設はどのような特徴があるのでしょうか?

「『医療機関併設型』は、おもに病気は治っていないけど、悪化する可能性の低い子どもを預かる『病児保育』を担当していて、『保育園併設型』は、病気は治っているけど、円や学校には行けない子どもを預かる『病児後保育』を担当しています。というのも、いずれの場合も子どもの容体は安定しているとはいえ、悪化する可能性はゼロではありません。そのため、『病児保育』は医師が常駐している『医療機関併設型』で担当することが多いのです」

「医療機関併設型」、「保育園併設型」の違いはわかりましたが、もうひとつの「単独型」は?

「『単独型』はNPO法人などが運営している施設です。地域のドクターがチームを組んで、今日は○○病院、明日は××病院といったように、当番制で担当しています」

これらの施設には課題も

このように、病児を受け入れてくれる施設はありますが、「まだ課題もある」と大川さんは続けます。

「『子ども・子育て支援新制度』が施行された2015年以前から『病児保育』の取り組みはありました。当時は、病児2人に対し、保育士・看護師がひとり付くことになっていましたが、現在は、人員不足の観点から、保育士・看護師ひとり当たり3人になったのです。しかし、これでは病児へのケアが不十分になるとの懸念もあります」

また、定員が少なく、現状は預けたくても預けられない状況もあるそうで、その点も解決すべき課題だと大川さん。

共働き世帯や働くママが増え、病児保育の需要が高まっている昨今。子ども・子育て支援新制度が充実するには、まだ時間がかかりそうです。
(文・明日陽樹/考務店)

お話を聞いた人

大川洋二
全国病児保育協議会会長・大川こども&内科クリニック理事長
1976年、東京医科歯科大学医学部卒業。2000年に東京都大田区で大川こども&内科クリニックを開院。「夜尿症外来」「じっくり外来」「発達心理外来」など多様な外来のほか、病児保育室「うさぎのママ」や、子供の成長に関して相談を受け付ける「すくすく相談室」などを併設し、様々な形で地域のニーズに応えている。
1976年、東京医科歯科大学医学部卒業。2000年に東京都大田区で大川こども&内科クリニックを開院。「夜尿症外来」「じっくり外来」「発達心理外来」など多様な外来のほか、病児保育室「うさぎのママ」や、子供の成長に関して相談を受け付ける「すくすく相談室」などを併設し、様々な形で地域のニーズに応えている。