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「肝臓がん」が進行すると「かゆみの症状」が現れる?医師が徹底解説!

「肝臓がん」が進行すると「かゆみの症状」が現れる?医師が徹底解説!

肝臓がんの患者さんのなかには、皮膚のかゆみに悩まされる方もいます。肝臓の働きが低下すると黄疸やむくみとともに皮膚のかゆみが現れることがあり、夜も眠れないほどつらいこともあります。本記事では、肝臓がんで皮膚にかゆみ症状が生じる原因やかゆみを感じやすい部位、そしてその対策を解説します。

監修医師:
和田 蔵人(わだ内科・胃と腸クリニック)

佐賀大学医学部卒業。南海医療センター消化器内科部長、大分市医師会立アルメイダ病院内視鏡センター長兼消化器内科部長などを歴任後の2023年、大分県大分市に「わだ内科・胃と腸クリニック」開業。地域医療に従事しながら、医療関連の記事の執筆や監修などを行なっている。医学博士。日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓学会肝臓専門医、日本医師会認定産業医の資格を有する。

肝臓がんでかゆくなりやすい部位

肝臓がんに伴うかゆみは、特定の部位に限られず全身に生じることが多いのが特徴です。ときに手のひらや足の裏で特に強いかゆみを感じる場合もあります。これは皮膚そのものに異常がなくても体内部の変化で起こる内因性のかゆみであるため、身体の広い範囲に及ぶことが多いのです。つまり、肝臓がんの患者さんでは身体のどこがかゆくなるというより、体全体がかゆくなりうるといえます。

肝臓がんで皮膚にかゆみが生じる原因

肝臓がんで皮膚にかゆみが生じる主な原因は、肝機能の低下や胆汁うっ滞による体内環境の変化です。

肝臓の働きが悪くなると胆汁の流れが滞り、胆汁に含まれるビリルビンや胆汁酸などの成分が血液中に蓄積します。その結果、皮膚や全身の神経が刺激されてかゆみが引き起こされます。

このように肝臓がんのかゆみは皮膚自体の異常ではなく、体内の物質の蓄積によって起こるため、皮膚を見ても発疹など明らかな異常がみられない場合がほとんどです。

さらに、肝臓病によるかゆみは通常のかゆみとは異なるメカニズムで起こると考えられています。虫刺されや蕁麻疹など皮膚が原因のかゆみはヒスタミンという物質が神経を刺激しますが、肝臓病によるかゆみには脳内のオピオイド系物質が関与しており、脳が直接かゆみを感じる仕組みです。そのため、一般的な抗ヒスタミン薬が効きにくいという特徴があります。

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