■危険を回避する車椅子や安全重視の体操では、歩けるようにならない

入院加療で足腰が弱ったみや子さんは、退院後にデイサービス(通所施設)に通うことにした。「祖母は、入院による体力低下、筋力低下(歩行不安定)を改善したいので、リハビリメインのデイサービスを紹介してほしいとケアマネジャーに依頼していたのですが、紹介された施設は生活介護中心でリハビリが充実していなかったのでがっかりした、と話していました」。初めてのデイサービスは、みや子さんと思っていた施設とは違った。

「現在、デイサービスは機能訓練(リハビリ)に特化した施設や認知症介護、高次脳機能障害、自立支援に特化したものなど、さまざまな特徴を持った施設が増えましたので、ケアマネジャーに利用先を任せるだけではなく、自分でネット検索したり実際に見学に行くなどして、利用者やその家族のニーズに合った施設選びをされた方がよいかと思います」(きよまろさん)

リハビリに特化した施設で、「要介護」から「自立支援」になりたいと思っていたみや子さん。しかし、通い先のデイサービスでは危険回避のため車椅子を使い、お風呂に入れてもらって、ぬるめのお茶を飲み、ちょっとした作業を行う。平和な時間だけが過ぎ、「牙が抜かれるところだったわい!」とみや子さんはみんなが雑談をするなか、1人黙々と歩行訓練のリハビリに励んだ。

「歳をとる、障害を持つと誰しも『仕方がない』『まあこんなもんか』と、老いに対してネガティブな面を肯定して改善のための努力をあきらめてしまいがちですが、祖母のようにコツコツ努力する、改善が困難な場合はそれを補完する手段(目が見えなければ眼鏡、耳が遠くなれば補聴器、足が弱れば杖…など)を柔軟に考えると、高齢者=弱者にはならいのだと感じました」(きよまろさん)

できるかぎり介護がいらない状態を目指したみや子さん。「自分のイメージは自分で作るだよ」と言う。歳は重ねても、自分はこうありたいと志を持って生きることが大切なようだ。
取材協力:きよまろ(@sobomiyako98)
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